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図太いファンクネスに呼び寄せられてできたキャンセル待ちの列
タイムスケジュールや会場設定もばっちりハマっていたし、開始から着地点に至るまでしっかりとした流れがあった。すべてのアクトに対して深い理解とリスペクトがあり、かつ、普段からムチャクチャ遊んでいないとこの感じは出ないと思う。本気で遊びまくってきた人間の知恵がそこかしこに凝縮されている。超ありきたりな表現だが、参加者の数だけ「THE JUSTICE」は存在するし、その印象は一人ひとりまるで異なるのだろう。
僕はふだん取材するとき、必ずペンとノートをたずさえており、今回もあとで原稿を書くために、色々と気づいたことや考えたことをメモしていたのだが、14時前にはすでにそんなものは楽屋にブン投げてしまっていた。こんなことをしている場合ではないと思ったのだ。とにかく一刻も早く、いまこの瞬間を全力で味わいたかった。

では、とりわけ印象に残ったアクトの感想を列挙していこうと思う。なお、これからの感想は「やばい」「すごい」「かっけー」「最強」といった、こういうタイプの記事ではあまり多用してはいけない感嘆詞が出てくるかもしれないが、なにとぞ勘弁してほしい。
まず、バンドアクトとしてはトップバッターにあたる、あばばずれ。あばばずれとは、2010年代に札幌のライブハウスに出入りしていた人間であれば誰もが知っているだろうベース&ドラムのユニットである。今回8年ぶりに一日限りの復活を果たすということだったが、マッタク、かつてのそのままだった。ミスやトラブルさえ笑顔で飲み込み、ドシャメシャに疾走する、愛すべき、愛さずにはいられないバンド。楽しいとか格好いいとかいうより、嬉しくなるライブ。最後に披露された大名曲”戦場のギタリスト”、持ち時間がギリだったゆえにかなりBPMを速めたバージョンで演奏されたが、フロアの大部分を巻き込んでの合唱となった。そして、それを歌っているのは全員友達だった。オープニングからすでに少年漫画の最終回のようなさわやかさ。


テレビ大陸音頭。一昨年のSNSでの大バズり以降、怒涛の快進撃を続けている彼らだが、かなりヤバかった。去年の夏ぶりに観たのだが、たくさんライブを重ねていることがよくわかる仕上がり。超エンタテイメントなのに、客に媚びるところがひとつもない。一番収容人数が多いステージだったが、余裕で入りきらず、廊下にはキャンセル待ち(1人出てきたら入れ違いで1人インする)の列すら出来ていた。図太いファンクネスとハチャメチャなパンクスピリットが同居している。まじかっけー。



willows。音数を極限まで削ぎ落としたスリーピースのポストパンク。と言ってしまえば話は簡単かもしれないが、そんな紋切型の表現には収まりきらない豊かなイマジネーション。休符や間を生かした緊張感あるグルーヴは知性を感じるし、痙攣的なギターリフにアイディアがある。