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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

札幌で開催『THE JUSTICE』レポ 表現の覚悟に呼応して生まれた本気の遊び

2025.6.27

#MUSIC

貪欲で執拗で純粋な、ギラギラな野心が繰り広げるバトル

出演者はゴアトランスからギター弾き語りまで実に多種多様であったが、ひとつだけ共通点をあげるならば、みんな尖っていたし激しかった。尖ってて激しいっていうと、すげーラウドなハードコアパンクとかロッテルダムテクノみたいなのを想像するかもしんないけど、音楽における尖りとか激しさって、BPMとかデシベル数とか歌詞内の放送禁止用語の数とか、そういうのとは全然関係ない。それは靴のサイズみたいなものだ。デカいから偉いとかそういうことではないのだ。

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尖ってるってつまり、クリシェや自己模倣に陥らず常にオノレを更新せんとする野心があるっちゅーことだし、激しさとはその人の心のありようのことを指す。常にフレッシュでいること。ミキサーのツマミを操作してるときや、ギターを鳴らす瞬間に、そいつの心が爆発しているかどーかが問題なのだ。

いちリスナーとして目も耳も肥えてるthe hatchが選び抜いたアクトは、どいつもこいつも尖ってたし激しかった。そんなやつらを観に来る観客も、みんなギラギラしてた。キラキラなんてもんじゃない、ギラギラ。血走ってて脂ぎってて、貪欲で執拗で純粋で、底抜けに素直だった。アソビで遊んでなかった。全員死ぬ気で遊んでた。

観客と演者の距離が近く、直に熱量を感じられる
NTsKiら11組のDJが個性豊かなプレイを展開したDJ BOX
西沢水産ビルの中で一番の収容人数を誇るZIPPY HALLでは、テレビ大陸音頭やthe hatchらが出演。常に満員の中、酸欠状態になりながらライブが行われた
『THE JUSTICE』は高校生以下無料で開催

そういう濃厚で高密度なパーティーは、あっという間に終わってしまう。12時半から23時近くまで、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作が余裕で観きれてしまうほどの長丁場だったハズなんだけど、体感にして3~4時間ぐらいしかなかった。床がびっしゃびしゃになった無人のフロアを見てはじめて「あれ? 終わった?」と思った程だ。秒単位で面白いことが起き続けていたから、目まぐるしくて忙しくて、終わりを意識するヒマさえなかったのだ。

なんせラインナップがあまりに魅力的すぎた。この日、「観たいアクトはすべて十分に観きれた」と言えるヤツは一体何人いるだろう? 少なくとも僕は、全く同じメンツでもう2回『THE JUSTICE』が行われたとしても、到底そんなことを言える気がしない。あの日、多くの人びとがそうであったように、僕はタイムスケジュールとニラメッコしながらあっちへこっちへと走り回り、それでも時には泣く泣くライブの途中で会場を後にするようなありさまで、「面白すぎるんですけど!」と苦情を申し立てたくなる程だった。「オマエの店が美味すぎるから太った」と言ってハンバーガー屋を訴訟するアメリカ人のように。

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