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”お家事”ドラマ『対岸の家事』が結婚と育児の分断を超えた先で描くもの

2025.5.6

#MOVIE

©TBS
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持つ者と持たざる者の分断を飛び越える

親との良好な関係が無い詩穂と両親が他界している夫・虎朗(一ノ瀬ワタル)©TBS
親との良好な関係が無い詩穂と両親が他界している夫・虎朗(一ノ瀬ワタル)©TBS

この作品は育児による親の孤独だけでなく、親と子のつながりにもフォーカスを当てる。子育てにおいて、自分の親が近隣に住んでいることや親との関係が良好なことは一つのリソースだ。しかし、詩穂と中谷は、共に親とは良好な関係に無く、頼りたくないという状況。詩穂の夫・虎朗(一ノ瀬ワタル)は、既に両親共に亡くしている。礼子は親と飛行機の距離だ。第4話で詩穂と虎朗が言い合いをしていたように、夫婦間であっても、親がいる/いない、仲が良い/悪いことによる想いは互いに理解しあえない。親自身や、親との良好な関係を持つ者と持たざる者の間には、分断が生まれがちだ。

結婚と出産についてもそうだろう。第4話では礼子が、独身の同僚から、結婚をして子供を持つ者には、持たざる者の気持ちは分からないと言われた。礼子からしたら、独身の人が持っている自分のためだけに使える時間とお金は、喉から手が出るほど欲しいものだろう。一方で、結婚しろ、子供を産めと親族や社会からの圧力を感じがちな独り身にとっては、自分が持たざる者であると感じても無理はない。同じく第4話では、夫が次期院長となる病院の跡取りのために子供を産めと周りから圧力をかけられている蔦村晶子(田辺桃子)が登場した。子供を持つ者と持たざる者の間にはどうしても分断が生まれてしまう。

人は、自分が持っているものに目を向けるのが下手くそで、人が持っているものばかりに目を向けがちだ。だからといって、持っている者と持っていない者で妬みあっても何も生まれないし、互いに孤独になっていくだけ。第4話の終盤には、子供を持つ詩穂が子供を持たない晶子の手を引き、家=病院から逃げることを促す場面があった。これこそ、分断を飛び越えた瞬間だ。持つ者と持たざる者と線を引かず分断を飛び越えることも、自分を孤独にしないための一歩だと言えよう。

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