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シンセサイザーの扱い方、ステージの作り方の違いから浮かび上がるもの
―シンセサイザーの多用というのも両者の共通点として挙げられると思っていて。特にオウガは、近年になってアナログシンセを多用していますよね。
出戸:元々ドラムの勝浦(隆嗣)さんがシンセ好きでいろいろ持っていたんですけど、コロナ禍でまた収集熱が出てきたんです。僕も同じタイミングでMini MOOGとかSEQUENTIALのOB-6とか、いくつか買ってみたり。そこから録音やステージで使う機会が増えていった感じです。
―Corneliusはライブだとベースの大野由美子さんがMOOGを弾いてますが、録音でアナログシンセを使うことは今でもあるんですか?
小山田:今はほぼ使ってなくて、ソフトシンセがメインです。前はデカいMOOGを使ったりしたけど、単純に古いアナログシンセってメモリーの機能がないから、次の日には音が変わっちゃうじゃないですか。録音の場合、あれが地味に大変で(笑)。
出戸:僕らは逆にその面倒くささが好きかもしれないです(笑)。
小山田:ライブのときはシンセで録った素材を同期させてるの?
出戸:同期はほとんどしてなくて、実際にステージ上でフレーズを鳴らし続けて、その上にバンドが乗っていくイメージですね。クリックを使うとスクエアなグルーヴになってしまう気がしていて。ステージでは、あくまでバンドの演奏を軸にやっています。
―Corneliusのライブではクリックをモニタリングしているんですよね。あらゆる要素がジャストでキマっていて、毎回驚かされます。
小山田:僕らのライブの場合、映像との同期も必要になりますからね。頭からお尻までワンセットでクリックや映像を全部作っちゃって、ポンと出してます。曲間も全部決まっているから、MCする隙もなくて。
最初の頃はVHSのテープにクリックを入れてガチャンと再生ボタンを押すっていうやり方。そこから紆余曲折を経て今の形にたどり着きました。
―その点、オウガのライブはシンセを使う場合でも都度勝浦さんが操作してキューを出してますよね。
出戸:クリックを使わないのもそうなんですけど、僕らはそもそもそこまで演奏が達者じゃないので、完全に同期させるとすごく硬いアンサンブルになってしまうんですよ。その点、Corneliusの演奏は本当にすごいな、と。
小山田:すごいかな。頭からお尻まで身を任せてればいいから楽といえば楽だけど(笑)。
―今回の原村の『””DELAY2025″”』でも、Corneliusは映像と照明込みで乗り込むんでしょうか?
小山田:そのつもりです。実は、照明をやってくれている高田(政義)くんの実家が会場からすぐ近くなんですよ。だから当日に向けて相当張り切っているみたいです。
出戸:Corneliusの出演時間は日が落ちてからなので、そのあたりもすごく楽しみです。