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「正直に伝えられたら、もっと世界はよくなる」(ジェイダ)
本当に幸運なことに、ジェイダにも話を聞くことができた。
「私はアメリカのミルウォーキーっていう小さな街に生まれて、今ではお客さんが叫んで応援してくれる。私にとっては、自分のことを信じて、応援してくれる人たちがいるって本当にすごいことで、そのお陰で自分もどんどん自信がついていく。そして不思議なことに、私が観客たちのおかげで自信を持つことで、観てくれる人たちも自分に自信を持てるようになるの」。
「お互いに手を差し伸べ合っているような感じで、お互いを愛し合っていて、みんなが私たちに『あなたたちはすごいよ』と言ってくれるのを聞いて、私たちも彼らのすごさを感じる」。
僕が「会場では、ひっきりなしにラブコールが叫ばれ、クイーンがそれに応える場面も印象的でした。そこにはドラァグショー独特の愛があると思いました」と伝えると、ジェイダはこう言った。
「もし世界中の人が、相手に対して感じていることをもう少し正直に伝えられるなら、それがたとえ『そのイヤリング素敵だね』みたいな小さなことであっても、時には偽りのように感じるかもしれないけど、本当に大事なことだと思うわ。特に私みたいに(クィアとして、あるいはクイーンとして)日々を生きている人にとって、それは本当にリアルなものなの」。
「もしも私が世界中の誰かに何かアドバイスをするとしたら、誰かを見て何かいいなと思ったらそれを伝えることよね。そうすれば、きっとその人も誰かにその言葉をかけるだろうし、その人の1日をより良いものにするかもしれない。それが回り回って戻ってくる。そう、それがすべてなの」。
ジェイダは少し照れくさそうに笑い、ニンフィアは「グッジョブ」と言った。時刻は21時40分。あと20分で歌舞伎町タワーが閉まるため、スタッフも演者も支度を急ぎ始める。ニンフィアとジェイダに別れを告げて、会場を後にする。
ネオンの街になった22時過ぎの新宿、二人の言葉をドレスみたいにまとって、少し大仰に歩いてみる。全ては幻想で現実。なりたい自分がいるなら、なりきればいい。クイーンたちからのインスピレーションを大切に抱えながら、じゃあ僕はどんな自分になりたいだろうかと想像した。
『OPULENCE Vol.5』

東京公演
日時:2024年10月25日(金)
会場:Zepp Shinjuku(TOKYO)
『OPULENCE』オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/opulence_official_japan/