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3部作の完結編にふさわしい「決着」と賛否
とはいえ、『MaXXXine マキシーン』は3部作の中でも最も賛否が分かれる内容であるとも思う。前2作は田舎町のごく限定的なシチュエーションがサスペンスにつながっていたのだが、今回は街が舞台と広い上に、殺人鬼や探偵以外にも、エリザベス・デビッキが凛々しく演じる女性監督、形式的にせよ味方となる警察官など、立場がそれぞれ異なるキャラクターが多く、さらにマキシーンの過去も関わるなど、複数の物語の軸が存在する。それらももちろん新たな魅力ではあるのだが、そのために焦点がぼやけた、あるいは散漫になったと感じる人もいるだろう。

しかし、だからこそこの複雑さが、シリーズ全体の「決着」にふさわしい重層性を与えているのも確かだ。「アンダーグラウンドな映画史を総括する」シリーズとしての完成を感じさせる一作である。前2作のシンプルさが気に入っていた人にとっては期待とズレるところもあるかもしれないが、それは同じことの繰り返しにはなっていない美点ともいえる。映画の露悪的な側面をあえて前面に押し出した姿勢は、シリーズでも最も際立っており、その点でも見逃せない。決して「きれいな映画」ではないが、それゆえに忘れがたい、強烈なフィナーレとなっている。ぜひ楽しんでほしい。

『MaXXXine マキシーン』

監督・脚本:タイ・ウェスト
出演:ミア・ゴス、ケヴィン・ベーコン、ジャンカルロ・エスポジート、エリザベス・デビッキ、モーゼス・サムニー、リリー・コリンズ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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公式X:@xmovie_jp
原題:MaXXXine|2024年|アメリカ映画|上映時間:103分|R15+
6⽉6⽇(⾦)TOHOシネマズ ⽇⽐⾕ほか全国ロードショー
公式サイト:https://happinet-phantom.com/maxxxine/