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ルーとジャッキーの複雑なパワーバランス
「ルーとジャッキーの愛」と言っても、2人の愛の表現方法は全く異なる。
銃の密輸を行う町のフィクサーを父に持つルーは、暗い過去を抱えているからかどこか内向的な性格だ。ジムでジャッキーに一目惚れをし、そのまま2人は流れるようにルーの部屋で一夜を過ごすが、その夜真っ先に愛撫をしたのはルーからで、翌朝もジャッキーのために甲斐甲斐しく朝食を作ってやる。ジャッキーが殺人を犯した後も、その証拠の隠滅を担う。つまり、ルーがジャッキーに示すのは、相手に尽くすような献身的な愛だ。
一方ジャッキーは、ラスベガスのボディビル大会で優勝することを夢見る、流浪のボディビルダーである。野望に対して貪欲で主体性があり、自らの肉体が持つ魅力も理解している。しかし、ルー一家の犯罪に巻き込まれ、殺人に手を染めるうちに、彼女の行動は衝動性を増し、ルーへの執着も増していくように見える。
ルーはジャッキーを罪の発覚から守るような役回りになるわけだが、そもそもジャッキーはルーの家族に巻き込まれなければ人を殺すことはなかっただろうし、ジャッキーが殺人を犯すのは、ルーのため、ないし2人の愛のためだ。2人の間に常にあるパワーバランスは実に複雑、かつ緊張していて、観ている我々もその深みにハマっていくような感覚に陥るだろう。