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君島大空『音のする部屋』全曲解説——J-POPの共感性、歌詞表現への苛立ちとともに語る

2025.6.2

#MUSIC

ひとりでいる時間さえも侵食される感覚、ひとりになれないストレス

―「ないもの」に対して歌った曲というのは?

君島:金縛りとか、家鳴り、ひとりで家にいても心がざわざわして聞こえてきてしまう音——そうやって「この家、誰かいるんじゃないか?」と思うことがすごくあるんですけど、ひとりで過ごす時間のうるささ、外圧を感じていて。そういうストレスをコンセプトにも重ねて、かなりマイナスのエネルギーから作られた曲たち。

―ひとりでいるのに外圧を感じる状態は、君島さんの固有の体験に基づいたものだと思うけれど、一般化できることでもありますよね

君島:それは考えたところです。家でひとりでいるときでリラックスできる時間さえも浸食されてくる感覚、ひとりの時間がないような気持ちってポピュラーな感覚だと思います。ひとりでいても、(スマートフォンを手に取って)こういう端末とかを通じて嫌なニュースばっかり出てくるし、単純に今、生きていてすごくストレスを感じているなと思う。

―そういう常に何かと繋がってしまって孤立も孤独もなくなった状況を指して、「常時接続の世界」と呼ぶみたいです。世の中の人のことを考える過程って、これまでの作品にはどれくらいあったんですか?

君島:0じゃないですか。

―考えたいなと思った? 考えるべきだなと思った?

君島:いや、どっちでもないですね。ポップスを聴いていて、なぜ共感性があるものを作らなきゃいけないんだろうってよく思うんです。でも今までみたいに僕だけが見た景色を音楽にするとき、コンセプトが代わりに共感性を持ってくれるとすっきりするって、今回気づいたんですよね。

だから世の中に目を向けたというより、今までより広い入口をとってみた感じです。今作は“Lover”っていう軸足が定まっているから、全部気楽な気持ちで、今までやったことないことをやってみるってことで自由に作りました。

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