INDEX
作る「動機」が変わらないからこそ、自らに徹底的に問う「作品作りの強度」
―「新しい君島大空、ここにあり」といえる作品ができましたけど、君島さんの音楽に対する何かが変わったわけではないんですよね。
君島:変わってないです。ずっと解決しない問題が歌の中で解決できる瞬間があって、そのために作っているので。でも現実的には解決されないわけで、どれだけやっても届かないじゃねえかって気持ちでいっぱいになるんですね。それで言葉が直接的になってきていると思うし、“Lover”は特にわかりやすいなと思います。
―それは「伝えたい」と思うようになったからですか。
君島:「これだけ言ってるんだから、わかれよ」みたいな気持ちに近いかも。でも、すごく身勝手で、自己矛盾を孕んでいると思います。
―でも「動機」に近い部分のことをここまで歌うようになったのは大きな変化ですよね。
君島:どこでも言ってないんですけどね。明かしてしまうとそれを加味して見られるので。
―「傷」の話に繋がります。
君島:そうそう。傷が武器になったり、変に鎧になったり、足かせにもなるし、傷もまた増えてしまうから。

―これから先のことを今どう考えていますか?
君島:ミックスも、作曲も、ボーカリゼーションも、楽器の技術も全部を総合して音楽をやっていきたいけど、全部のパラメータがマックスなのか考えたときに不安になる瞬間があって。だから最近、一つひとつをちゃんと研がなきゃ面白くないし、ダメなんじゃないかなと思って、自分の気持ちを正直に文字にする練習をしたり、楽器の練習も前よりしています。
―そのことが音楽を続けていける理由になる?
君島:うん。音楽をする「動機」が変わらなくて、言っても言っても足りないって思うこともそうです。正直、何をしたらいいかわかんないけど、「これで終わると思うなよ」って気持ちを抱えながらやってます(笑)。面白いものが作りたいし、でも言いたいことはずっと変わらないから。
過去に対しての眼差しとか気持ちって、自分がどこにいても、もうあんまり変わらないと最近よく思うんです。だから「俺は自分の持ち場を守る」ってすごく思うし、そのうえで誰にも真似できない音楽を作りたい。そのためには表現の強度を上げたり、発展させ続ける必要があると思うから、俺はもっと強い力でこれをやるぞって気持ちです。それがどんな音楽か、今はまだわからないんですけどね。

君島大空『音のする部屋』(LP)

2025年7月23日(水)発売
価格:4,400円(税込)
A1. 除
A2. WEYK
A3. Death Metal Cheese Cake
B1. 釘
B2. 迎
B3. Lover
https://kimishimaohzora.lnk.to/otonosuruheya-LP
君島大空『音のする部屋』(CD)
2025年4月2日(水)発売
価格:2,200円(税込)
1. 除
2. WEYK
3. Death Metal Cheese Cake
4. 釘
5. 迎
6. Lover
https://kimishimaohzora.lnk.to/otonosuruheya