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ドラマ『ひらやすみ』で映される「モノ」や「景色」に託された思い

2025.11.19

#MOVIE

©NHK
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完璧な布陣で作られた「ひらやすみ」世界

「いろいろ変わっていく上京少女」なつみ(森七菜)©NHK
「いろいろ変わっていく上京少女」なつみ(森七菜)©NHK

登場人物たちを見守る小林聡美のナレーションの優しさ。第2回の終盤に流れたヒロトとなつみが歌い、ヒデキ(吉村界人)が口笛を担当する劇中歌“Keep on rolling” (作詞作曲は福島節)の可愛らしさ。そしてヒロトたちが作る美味しそうなご飯の数々は、フードスタイリスト・飯島奈美によるもの。完璧な布陣で作られた世界の中で役を生きる演者たち。主人公である「何も変わらないのんきな青年」生田ヒロトを演じる岡山天音の、穏やかで優しい佇まいは、反対に彼を取り巻く登場人物たちの変化を際立たせていく。

そんな魅力的な要素で溢れる本作の中でも、ヒロトのいとこであり「いろいろ変わっていく上京少女」なつみを演じる森七菜は格別だ。時にむくれたり、しょんぼりして下を向いて歩いたりと、喜怒哀楽のすべてが表情と歩き方に出てしまう素直な性格。ピョコピョコ・パタパタ・モダモダと形容したくなるその可愛らしい一挙一動から、なんだか目が離せない。なつみはいつも、想像とはだいぶ違う現実にうんざりしている。憧れの東京生活を過ごすはずが、ヒロトのバイクで到着した先は、「時代に取り残された」ような平屋だった。華々しい大学デビューを果たすはずだったオリエンテーションでは、輪ゴムを使ったささやかな手品が見事に失敗し、学食では座る場所がなくて、外のベンチで食べるには不釣り合いなラーメンを仕方なく啜っている。そんな彼女だからこそ、大学で初めてできた友人・あかり(光鳶なづな)と打ち解けていく過程において、思わず零れ出た笑顔から目が離せないし、気づいたら自分のことのように、彼女を見つめずにはいられなくなっていたのだ。

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