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「変わること」の奇跡も描く『ひらやすみ』
そして本作は、「変わること」の奇跡もまた描く。ヒデキがサキと共に平屋に赤ちゃんを連れてやってきた第14回で、赤ちゃんという「得体の知れない存在」にぼんやりと苦手意識を持って遠巻きに見つめていたなつみが、赤ちゃんに恐る恐る触れたと思ったら、すっかり夢中になるように。もしくは、第15回で、なつみが苦手だと思っていた同級生の中島（福室莉音）がマンガを描いていることを知り、作品を見せ合うことで、同級生たちとの新たな関係性が生まれるように。さらには第16回において、積もりに積もった仕事のストレスで頭がいっぱいになったよもぎが、「米の値段が高すぎてイライラしちゃって、スッキリしたくて」ひた走るヒロトと、一緒に走ることで、親友のレイ（富山えり子）と語らう時と同様に、気づいたら腹の底から笑っているように。
本作は、登場人物たちが思わぬところで共鳴し合い、意図していなかった自分自身の変化を受け入れる喜びもまた描く。それらはどれも、ささやかな日常の1コマに過ぎない。だが、だからこそ私たちも、かつて似たような経験をしたことを思い出さずにはいられない。後に思い出して笑ったり泣いたりしてしまうような、そんな小さな奇跡を、お守りのように抱きしめて、私たちは変わりゆく毎日を生きていく。『ひらやすみ』はそんなことを考えさせてくれる、小さくて素敵なドラマなのだ。
夜ドラ『ひらやすみ』
毎週月～木曜 夜10:45～11:00 NHK総合にて放送中
※NHK ONE（新NHKプラス）で同時・見逃し配信中
公式サイト：https://www.web.nhk/tv/an/hirayasumi/pl/series-tep-KZ5YJ87J38
