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「僕らいろんなものを参照するんですけど、真剣にそれに寄せようとしたことはないんですよ。そのズレがオリジナリティになればいいかなって」(田中)
ー“my love, my guys”はひさびさに西川さんの作曲で、高野さんからリクエストがあったそうですね。
西川:「こういう曲を書いてください」って結構明確に指定をされたんです。朝の4時ぐらいに。べろべろに酔っ払ってたんですけど、「わかりました」って言って。でもそれをちゃんと覚えてたので、あそこまで指定されたら書かないとなって。
ーどこまで指定があったんですか?
西川:ニール・ヤングのこの曲みたいなのをイ短調で作ってくれって。なかなか難しかったです。

ー西川さんの曲がアルバムに入るのは2013年作『愚かな者の語ること』に収録されていた“太陽と銃声”以来かと思うのですが、近年は曲を書くよりも演奏の方が楽しい?
西川:演奏は趣味だと思ってるので楽しんでるんですけど、作曲に関してのモチベーションは低いかもしれないです。自分から「こういうのを作りたい」っていうのもあまりないので。まあ、今回みたいに指定されると、いい意味で諦めがつきますよね。それをしたいとかしたくないとかじゃなくて、もうそれを目指してるんだから、そういうものやなって。この言い方もモチベーション低いかもしれないですけど(笑)。
亀井:“どあほう”で結構シンプルにやったけど、“my love, my guys”はさらに超シンプル。ここまでの感じはやったことないので新鮮でした。バンドを初めてやります、みたいな人におすすめです(笑)。

ーその一方では“ドスとF”のような実験的なアレンジの曲もあって、僕は歌詞のディストピアというテーマも含めてSquidを連想しました。“猫行灯”とかもそうですけど、サウスロンドン周りのシーンも影響源になってたりしますか?
田中:あの辺のポストパンクに関してはね、好きで聴いてはいますが、近い年代のものは参照元としてあんまり使わないことが多いですね。“ドスとF”は亀井くんの最初のデモとは180度違ってて、それをどう解釈するんだというところから始まったんですけど、一応リファレンスとしてGallianoが出てきたんです。Gallianoってひさしぶりに聞いたなって思いながら、もちろんそれに似せることもなく、ただイメージとして共有して、みたいな感じで進めて。僕らいろんなものを参照するんですけど、真剣にそれに寄せようとしたことはないんですよ。なんとなくこんな感じのイメージってみんながぼんやり共有して、全然違う解釈をしてても、そのズレがオリジナリティになればいいかなって。