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自分で摘んだ金木犀を蒸留してジンに仕込む
Celeina:「虎ノ門蒸留所」では具体的にどのようなジンを作っているのですか?
一場:先ほどお話しした東京の島酒の焼酎をベースに、ジュニパーベリーを加え、さらに季節の植物を用いています。たとえば今の季節であれば、ちょうど咲いている金木犀を実際に摘んできて蒸留し、香りを活かしたジンを仕込んでいます。

Celeina:金木犀はご自身で森まで摘みに行かれるのですか?
一場:はい。金木犀は専業農家がいるわけではないので、小学校やお寺などに植えられているものを、許可をいただいてから摘ませていただいています。そして香りが逃げないうちに持ち帰り、すぐに蒸留しています。
タカノ:出来上がったジンには、やはり金木犀の香りが感じられるのでしょうか?
一場:完全に同じ香りにはなりませんが、確かに金木犀を思わせるニュアンスが残った仕上がりになります。
Celeina:お酒にそのまま漬け込むのではなく、どのように香りを移すのですか?
一場:ウイスキー製造でも使われる「ポットスチル」という銅釜の蒸留器を使用します。アルコールとボタニカルを入れて加熱すると蒸気が発生し、それを冷却すると再び液体に戻ります。理科の実験のような仕組みで造るのが蒸留酒なんです。漬け込むのではなく、蒸留器を用いて抽出していく点が特徴です。
Celeina:理科の実験という表現でとても分かりやすく感じました。そして「虎ノ門蒸留所」は東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2025で最高金賞を受賞されたのですよね。
一場:はい。つい先日授賞式がありました。「虎ノ門蒸留所」では年間20種類ほどのジンを製造していますが、その中には多くのコラボレーション商品もあります。このときは大分県の日田の酒蔵から依頼を受け、日田の森から採取した木や植物を用いてジンを仕込みました。それが評価され、最高金賞をいただくことができました。