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いいと思った景色のコンディションを表現するために模様を用いる
タカノ:福津さんの作品を拝見しているんですが、模様がすごいんです。こういう作風に行き着くまでにはどういうプロセスがあったんですか?
福津:僕は、自分で見た景色を描いているんです。この景色いいな、と思って景色を描くんですけど、「その景色が良かった理由はなんなんだろう?」ということをよく考えるんですね。僕がいいと思っているのは、例えば、ここに誰かがいて、ここにこういう木があって、こういう枝ぶりで、ということではなくて、その場所がどういうコンディションだったか、ということに近いなと思うんです。
タカノ:コンディションと言うと。
福津:空間としてどういう状態だったか、ということですね。温度がどれくらいだったのか、風がどのくらい吹いていたのか、どういう匂いがしたのか。景色を見る時って、集中してどこか1点を見ると周りが見えなくなって、その場所がどういうものであるかよりは、それがどういうものであるか、この人がどうであるか、という方にフォーカスしませんか?
タカノ:確かにそうかもしれないですね。
福津:なので、焦点を合わせないで、均一に全ての要素をぼんやりと見ているような状況の方が、その場所がどういうコンディションであるかというのを感じ取りやすいと思うんです。で、その感じをどうしたら表現できるんだろうと考えて行き着いたのが、模様を使うことでした。
タカノ:そうなんですね。
福津:はい。この技法って、上手く描けないんですよ。ちゃんと人を描こうと思って、どんなにこの技法で努力しても、決してフォルムは生まれてこないんです。そういう不自由さがあることで、本質が見えてくるというか。実際に自分が感じていたものはどういうものなんだろう、ということに触れられる気がしたので、模様を使っています。
タカノ:面白いですね。そういう風に世界を捉えたことが今までなかったので、新しい視点をいただいた気がします。きっと福津さんが今見ているこのスタジオの風景も、我々と違うかもしれないし。
mikako:空気とか匂いに色が見えたりするんですか?
福津:実際に見えているかどうかは別として、感覚としてはあります。
mikako:じゃあここの空気は何色だから、例えば次の作品でここを描くとしたら、この色を使おうみたいな。
福津:そうですね、そういうのはあります。その関係性について、常に考えているからというのもあるとは思いますけど。例えば桜の木を描く時も、その時には花が散っていても、必ずその木の幹に、花と同じ色を使うようにしているんです。そういうことの積み重ねで、隣にあった小さい雑草の黄色い花の黄色が、必ずここの桜の木の幹に反映されているだろうな、とか。そういうことは常に考えているかもしれないです。
タカノ:福津さんの作品を実際に目にする機会というのは、近々あるんですか?
福津:まだWEBサイトなどで告知が出ていないのですが、六本木ヒルズのミュージアムショップで、8月29日(金)から、ZINEなどの展示と販売のイベントがあるんです。そこで、絵画作品を2点ぐらいと、あとは自分で作った、あまり普段は展示で人に見せないような絵を集めた小さい本を売ろうと思っています。
タカノ:いいですね、タイムリーですね。
福津:そうなんです。ちょうどこのお話をいただいた時に、ちょうどいいなあと思って(笑)。
mikako:素晴らしい。
タカノ:詳しい情報は、福津さんのSNSなどを皆さんにチェックしていただければ。
福津:そうですね。そのうち多分、六本木ヒルズのミュージアムショップの方でも情報があがると思います。
タカノ:こちら要チェックです。さあ「FIST BUMP」、グータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達を紹介してもらっています。福津さんが紹介してくれるのは、どんな方でしょうか?
福津:建築家の大野友資さんです。
タカノ:知り合いです(笑)。
福津:そうですか!
タカノ:昔一緒に仕事したことがあるんです。しかも六本木ヒルズで。
mikako:すごい。ご縁がありますね。
福津:明日も、六本木にいるんでちょうどいいですって言っていました。
タカノ:久しぶりに会えるのが嬉しいです。こういうミラクルが起きるんですよ、「FIST BUMP」って。東京は狭いですね。ありがとうございます。
mikako:明日は、建築家の大野友資さんに繋ぎます。
タカノ:ということで、「FIST BUMP」、本日は画家の福津宣人さんにお越しいただきました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann