メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

都市デザインを手がける飯石藍は、場所の歴史を引き継ぎながら新しい使い方を模索する

2025.7.28

#OTHER

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

7月2日は、建築家のアリソン理恵さんからの紹介で、池袋駅東口のグリーン大通りなど、都市デザインの仕事を手がける飯石藍さんが登場。使われなくなった公共空間を再活用する活動内容のほか、道路の新しい使い方を考えるプロジェクト「IKEBUKURO LIVING LOOP」についてや、まちづくりをする時に大切にしていることについても伺いました。

使われなくなった公共空間を、色んな人の思いを受け継ぎながら再活用する

Celeina(MC):飯石さんは、パブリックスペースに関する実践型メディア「公共R不動産」で、クリエイティブな公共空間の活用に関する編集や企画を行うほか、全国各地の自治体と連携した公共空間の活用プロジェクトの伴走にも取り組まれているそうです。具体的には、どのような内容の仕事になるのでしょうか?

飯石:少しイメージしづらいかもしれませんね。たとえば、公園や廃校になった学校などを例に挙げることができます。生徒数の減少によって閉校した建物が、今は使われないまま残っていることが多いのです。でも、そうした場所には多くの人の思い出が詰まっていて、何もしないのはもったいないよね、ということで、地元の方々や企業の方たちと一緒に、どうすればその空間を再び活かせるかを考えるような取り組みを行っています。

また、そうした活動をメディアとして発信することで、使いたいと思っている人と、活用してほしいと考える行政など、さまざまな人たちの間をつなぐような役割も果たしています。

タカノ(MC):本当に大切なことですね。土地や建物が余っていても、うまく活かさなければ失われてしまうこともありますし。

飯石:そうですね。そして、何よりも多くの方の記憶が宿る場所であることが多いので、そうした思い出をすべて白紙に戻して建て替えてしまうのではなく、何かしらの形で受け継いでいけたらと考えています。

Celeina:実際に、そうした廃校になった校舎をどのようにして再び活用しているのでしょうか?

飯石:全国でさまざまなケースがあるんです。たとえば、教室を細かく区切って宿泊用の部屋にすることで校舎をホテルにリノベーションしたり。あとは、地域への移住を希望するクリエイティブな方々がアトリエ兼ギャラリーとして使ったり、コワーキングスペースとして活用されたりするケースも増えてきています。

道路を「楽しむ場所」に変えるチャレンジに取り組んでいる

タカノ:池袋での取り組みも気になります。「IKEBUKURO LIVING LOOP」というプロジェクトを、南池袋公園とグリーン大通りで進めているそうですが、これはどのようなプロジェクトなのでしょうか?

飯石:私自身、現在は東京の豊島区に住んでいますが、その地域にある南池袋公園と、駅前のグリーン大通りを舞台に、いろいろな実験をしながら、新しい場所の使い方を街の人たちと一緒に考えていく取り組みを行っています。このプロジェクトはすでに10年ほど続いています。

タカノ:そもそものきっかけは何だったのでしょうか?

飯石:もともと南池袋公園は、治安のイメージで課題のある場所だったのですが、それを豊島区が整備して、きれいに生まれ変わらせようという動きがありました。その流れの中で、隣接するグリーン大通りも含めて、街全体をより魅力的なエリアにしたいという構想が生まれ、私たちもそこに参加することにしました。

タカノ:本日お持ちいただいた冊子がありますが、これはZINEですか?

飯石:そうです。多くの方に配布しています。道路を使うということに、あまりイメージを持っていない方も多いかもしれませんが、ただ通行するだけでなく、公園のように使えたら面白いですよね。たとえば、マーケットを開いたり、昨日出演されたアリソン理恵さんとも協力して、ストリートファニチャーの設置なども行なったりしています。道路も視点を変えることで、人々が集い、楽しみ、さまざまなチャレンジができる場になることを伝えたいと考えています。

Celeina:カラフルで可愛らしいレイアウトのZINEですね。キャッチーでありながら、しっかりとプロジェクトの内容が伝わってきます。アリソン理恵さんの寄稿や、ストリートファニチャーの写真も掲載されていますね。

タカノ:テーブルや椅子が設置されていて、そこで人々が会話したり交流したりする様子が想像できます。

Celeina:時計台もその一環ですか?

飯石:はい、それもストリートファニチャーの1つです。グリーン大通りは路面電車が走っていた道路で、かつては駅が存在していたんです。その歴史を少しでも引き継ぐかたちで設置されたものです。

Celeina:確かに、駅のホームのような構造ですね。水色とオレンジを基調としたデザインが印象的です。

飯石:待ち合わせをしたり、掲示板に「先に行きます」と書いたり、携帯がなかった時代のちょっと懐かしいやりとりができるような空間でもあります。

まちづくりは歴史や背景を理解することから始まる

タカノ:その地域の歴史や人々の思いをきちんと受け止めて理解して、それを新たなかたちで引き継いでいくというのは、簡単ではないように感じます。

飯石:そのまま放置されてしまうと、どんどん風景が変わってしまいますし、新しい建物ができたあとでは、その場所がかつて何だったのかに気づけないこともあります。だからこそ、その土地で何があったのか、どんな文化が育まれていたのかを意識していきたいと強く思っています。

Celeina:まちづくりに取り組む際には、まずはその土地の歴史や背景を理解することから始めるのでしょうか?

飯石:はい。そういった視点も大切にしています。

タカノ:このプロジェクトを10年にわたって続けてこられたとのことですが、これからもさらにアップデートしていく予定でしょうか?

飯石:そうですね。今年も新たな取り組みを予定しています。現在取り組んでいるのは「循環(サーキュラー)」というテーマです。近くの小学校の体育館の床材を使って、ファニチャーを作ったりしているんです。また、マーケットを開く際にも、どうすればごみを出さずに済むのかを考えながら進めています。そうしたアクションを通じて、訪れた人たちが、それぞれの暮らしの中でも実践できるようなきっかけを生み出していけたらと考えています。そういったアクションを、道路のように誰にでも開かれた場所で行うことに、大きな意味があると思うんです。

Celeina:地域の歴史や文脈を大切にしながら街を整え、人々に「循環」という考え方を届けて、未来へとつなげていく取り組みなんですね。

飯石:綺麗にまとめていただきありがとうございます(笑)。

Celeina:すごく素敵な取り組みだなと思いました。さあ「FIST BUMP」、グータッチでつなぐ友達の輪ということで、明日スタジオにお迎えする方をご紹介いただいています。どなたをご紹介くださいますか?

飯石:「かみいけ木賃文化ネットワーク」共同代表の、山本直さんです。池袋から1駅離れたところに、上池袋という少しニッチなエリアがありまして。そこで、地域の拠点をつくり、七輪で食材を焼いたり、広場のように活用したりと、さまざまな活動をされている面白い方です。

Celeina:ありがとうございます。明日は「かみいけ木賃文化ネットワーク」共同代表の山本直さんにご出演いただきます。「FIST BUMP」、本日のゲストは、池袋駅東口のグリーン大通りをはじめとする都市デザインに携わっている飯石藍さんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS