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「フードデザイン」を行う平井巧は、楽しみながら食品ロスを減らす活動を広める

2025.4.14

#OTHER

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

3月19日は、西荻窪にある「食堂ごゆるり」のオーナーの真崎里砂さんからの紹介で、株式会社honshoku代表で、一般社団法人「フードサルベージ」代表理事の平井巧さんが登場。フードデザインという仕事についてや、食品ロスを減らすために身近でできることなどについて伺いました。

「食品ロス=悪いこと」と簡略化せず、食べ物をどう楽しむかを考える

タカノ(MC):平井さんは、食品業界に向けたブランディング戦略や、商品開発支援を行う株式会社honsyokuを運営しながら、食品ロスをテーマにした一般社団法人「フードサルベージ」の代表理事も務めておられます。それぞれどういったお仕事なのかというところからお聞きしたいです。

平井:簡単に言うと「フードデザイン」という仕事をやっています。例えば着ている服、携帯電話、今座っている椅子もそうですけど、こういうものをデザインするというとピンとくるじゃないですか。

タカノ:プロダクトデザインですね。

平井:一方で、食をデザインするというと、いまいちイメージがつかないですよね。でも、どうやって食べるか、誰と食べるか、どういったものを買うか、どう料理するか、食べた後にどう捨てるか。気づいていないだけで、そういう1つ1つの行動が、実はいろいろデザインされているんです。それは決して誰かがコントロールするみたいなことではなくて、食にまつわる行動をどう楽しむかみたいなことを、僕らは企業さんと一緒にデザインしています。

タカノ:外食に限らずということですか?

平井:そうですね。パッケージとか、商品を作ることももちろんデザインですよね。でもそれだけではなくて、その商品を家に持ち帰ってもらってどう食べてもらうかとか、どう笑顔になってもらうかとか、そこまで設計するのが僕らの仕事です。最近ではさらに環境問題も鑑みて、どう捨てるか、どう後処理するかみたいなところまでデザインしないと、これからの食業界は良くないと考えています。

タカノ:「フードデザイン」ってあまり聞いたことがない言葉ですね。

平井:概念的にも新しい言葉だと思います。

Celeina(MC):「食品ロス」というワードも出てきましたけれども、そちらについて詳しく伺っていきたいなと思います。これは「フードサルベージ」の活動の一環なんですか?

平井:そうです。食品ロスは「まだ食べられるのに捨てられてしまうこと」と定義されます。家だけではなく、食べ物を作っている工場や、飲食店の食べ残しも食品ロスになります。

Celeina:例えばお惣菜を置いているようなお店で、消費期限が短くていっぱい廃棄が出たりしますよね。それも食品ロスですか?

平井:そうですね。例えば、よくスーパーとかコンビニに行くと、もうすぐ期限が迫って捨てられてしまうものに値引きシールが貼られたりしますよね。 あれもまさに食品ロス間近なんです。値引きされても売れ残ったら、棚から降ろされて裏で捨てられてしまう。そういうことが環境問題に影響していたりするので、僕らはできるだけそれを少なくしようとする活動をしています。

ただ、僕らが1番気をつけているのは、食品ロスの課題でもあるんですが、「食品ロス=悪いこと」というイメージをつけすぎないようにするということです。その解釈も間違ってはいないんですが、そうすると、余らせちゃいけないんじゃないかとか、無理やり食べなきゃいけないと思ってしまいますよね。皆さんよく居酒屋に行って、大皿で料理を頼んで、唐揚げが1個だけ余ったりしませんか?

タカノ:ありますね。

平井:日本人らしいんですけどね。そういう時に、お腹いっぱいなのに無理やり食べるのって、実はもうあんまり美味しくなかったりとか、苦しかったりすると思うんです。それでも無理して食品ロスを減らさなきゃいけないのかは、その時々によって違いますが、「食品ロス=悪いこと」だから減らしましょうだけではなくて、むしろ食べ物に敬意を持ちながら、どう楽しむかについて、一緒に考えていこうとしています。

余った食材を持ち寄る『サルベージ・パーティ』を10年以上開催

Celeina:ポジティブな印象を受けましたが、何か具体的な活動や取り組みはされていますか?

平井:2013年から『サルベージ・パーティ』、略して『サルパ』というイベントを実施しています。こんなに続くと思わなかったんですけど、始めてからもう10年以上経ちました。家で持て余している食材や、企業が余らせてしまっているものをみんなで持ち寄って、プロの料理人がその場で料理を考えてライブクッキングをするんです。

タカノ:ライブクッキング、かっこいいですね!

平井:シェフもその場で腕組みしながら悩むので、何ができるかわからない。それを楽しみながら、できた料理も楽しむんです。最近ではシェフだけではなくて、集まった人みんなで料理したりすることもあります。

タカノ:いいですね。コミュニケーションも生まれるし。

平井:そうなんですよ。地域の人たちでやることもあれば、会社の中で従業員の方たちがみんなで料理をしたりとか、お昼ご飯を作ったりすることもあります。

タカノ:もっと浸透していってほしいですね。気軽に「サルパしない?」みたいな。

Celeina:「タコパしない?」みたいな感じでね。

平井:僕らも『サルパ』と略されることを計算して名前をつけたんですよ。何か言いたくなるじゃないですか。

タカノ:口にしたくなりますね。友達同士とかで「今週サルパしようよ」と言って、残り物やどうしたらいいかわからない食材をみんなで持ち寄って、アイデアを出しあって。それ自体がプロセスとしてすごく面白いと思います。

平井:料理することも楽しいと思います。あと、例えば「これ余らせてしまったんですけど、皆さんで使ってください」とよく申し訳なさそうに野菜とかを持ってくる方がいるんですけど、それをプロの料理人なら美味しく調理してくれます。例えばキャベツの芯まで使って美味しい料理を作ってくれるので、「芯ってこんなに甘かったんだ」ということを知れたりするんです。次からキャベツの芯まで使って家で真似して作ってみたりもできますし、『サルパ』には幅広い楽しみ方があります。

Celeina:生活の知恵も得られるような感じがします。

タカノ:楽しみながらというのがいいですね。『サルパ』を流行らせたいです。

冷蔵庫で余らせているものを使って料理をする「冷蔵庫ガチャ」

Celeina:その他で、私達が食品ロスに対して身近で起こしていけるアクションはありますか?

平井:たくさんあると思います。ただ、先ほども言ったんですけど、基本的にはあんまり背負いすぎないで、できる範囲でやるべきだと思います。簡単にできるのは、いわゆる「冷蔵庫ガチャ」ですね。いわゆる飲食店の賄い料理みたいなものなんですが、冷蔵庫を開けた時に余っているものや、あるのはわかっていたけどいつか使おうと思って、ついつい置きっぱなしの調味料とかないですか?

Celeina:ある(小声)。

タカノ:小声で(笑)。

平井:そういうのはやっぱりあるんですよね。だから、あるもので料理を作るということを、自分に課すんです。例えば人参とジャガイモと牛乳があったら、それでポタージュを作っちゃおうとか。作り方はよくわからなくても、検索すればいくらでも出てきますしね。

タカノ:素晴らしいですよ。「冷蔵庫ガチャ」という言葉を作ることによって、新たな価値を生んで、料理をすることをポジティブなものに変換しているというか。

平井:「もったいない」という言葉はすごく素晴らしいんですけど、そう思っていると捨てる時に罪悪感が生まれたりするので、食材をどう美味しくするか、活かすかを考えるといいと思います。

Celeina:ゲーム感覚で楽しむという感じですね。明日は祝日ですし、おうちでゆっくりする時間がある方は冷蔵庫を開いてもらって、「冷蔵庫ガチャ」やってみよう。

タカノ:『サルパ』もやってみましょう。

Celeina:「FIST BUMP」、本日は株式会社honshoku代表で、一般社団法人「フードサルベージ」代表理事の平井巧さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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