グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
11月14日は、ライターでDJ、年表好きのパンスさんに、年表を好きになったきっかけや、自身の著書『年表・サブカルチャーと社会の50年』の楽しみ方などについて伺いました。
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子供時代からライフワーク的に続けてきた記録を年表として出版
Celeina(MC):パンスさんのプロフィールをご紹介させていただきます。パンスさんはライター、DJ、そして年表好きで、テキストユニットTVODとして活動されています。TVODとしての著書に『ポスト・サブカル焼け跡派』『政治家失言クロニクル』、ソロでは1968年から2020年の社会と文化史をまとめた『年表・サブカルチャーと社会の50年』をリリース。『アジア都市音楽ディスクガイド』の監修も務められています。
気になるプロフィールですけれども、今日はプロフィールにもありました『年表・サブカルチャーと社会の50年』をスタジオにお持ちいただきました。
パンス:持ってきました。すごく大きいんです。
タカノ(MC):これはどうなっているんですか?
Celeina:4枚に分かれているんですね。
パンス:そうなんです。B1のポスターサイズが4枚組という。
タカノ:全部広げるとブルーシートぐらいのサイズがありますね。字もすごく細かいです。
パンス:これ以上、文字の級数を小さくできないので、このサイズになってしまいました。
Celeina:限界なんですね。細かく色々と書いてありますけど。
タカノ:情報量がすごいなと思います。
Celeina:内容については後ほどまたチェックしていきたいなと思うんですけれども、この年表にはどんなトピックが載っているんですか?
パンス:サブカルチャーと社会ということで、日本を中心に1968年から2020年までにリリースされた音楽や、公開された映画、出版された小説にどんなものがあるのかというのと、その時に社会で何が起こっていたのか、政治がどうだったのか、どんな事件が起こっていたのかというのを、ひたすら時系列で並べてあります。
タカノ:欲しくなりますね。
Celeina:パンスさんご自身の手で調べ上げて、全て載っているという。資料数とか半端ないんじゃないですか?
タカノ:作る時間はどれくらいかかったんですか?
パンス:ライフワーク的にやってきているんですよね。小学校とか中学校ぐらいの時から、好きなCDがリリースされた年月日とかをメモするのが好きだったので、それをひたすら続けていたらこうなったというか。
タカノ:既に子供の頃からのストックがあったんですね。
Celeina:すごい。子供の頃からのライフワークが、出版に至ったわけじゃないですか。その経緯というのは?
パンス:TVODというユニットで、サブカルチャー評論的な内容の『ポスト・サブカル焼け跡派』という本を出した時に、僕が後ろに年表をつけたいと言ったんです。ただ、当然この量は入りきらないので、その本には圧縮した内容で年表をつけていて。その本を出した百万年書房という出版社の方から、その後、この年表の完全版を出さないかという話をいただいて、リリースに至りました。
Celeina:念願の、というところですね。
タカノ:カルチャーが色々見えてくるので、貴重な資料になりそうですね。
Celeina:50年後ぐらいには図書室とかに貼ってあるかもしれない。
タカノ:各学校に1枚配られるみたいな感じでね。ここに載っているトピックスの選別も気になるんですが、どういう風に選んだんですか?
パンス:基本的に自分が好きなものは大切にしようかなと思っていたんです。なので、普通だったら年表に絶対載らないようなマニアックなこととかも載せているんです。それが独自の色になるんじゃないかなと思って、あえてその辺は出しています。
タカノ:マニアックなことと言うと、例えばどんなものが?
パンス:全然知られていないインディーズ系のアーティストのリリースが太字になっていたりします。そこは誰も追わないだろうな、みたいなところをあえて取り上げる感じですね。
Celeina:パンスさんの年表を見て、知らないワードをピックアップして、そこから色々なカルチャーを勉強していくと、本当に世界が広がりますよ。
パンス:そうなんです。ディスクガイドとかブックガイドみたいに、ここに載っているものの中から気になったものを聴いたり読んだりしてみるとか、そういう形でも使えるなと思います。
Celeina:なるほど。つまりサブカルチャーの地図的な役割というか。
タカノ:いいですね、地図になる。
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小学生の時に買った『江戸東京年表』に影響を受けた
Celeina:日付を記録するのが好きだったと仰っていたじゃないですか。パンスさんは歴史とか社会科が好きなのか、数字とか数学的なものが好きなのかが気になりました。
パンス:完全に歴史ですね。日本史や世界史を普通に学校で学ぶのも好きでしたし、学校では教えてもらえないところまで、ひたすらノートにメモをしていました。
タカノ:影響を受けた年表もあるとお聞きしたんですが。
パンス:あります。年表ってジャンルとしてはあまり取り上げられることがないと思うんですが、僕は本の後ろについている年表を基準にして買ったりしていたんです。
タカノ:内容じゃなくて年表基準で。
パンス:そうなんです。今日も1冊持ってきたんですけど、1993年に小学館さんから出た『江戸東京年表』という、江戸から東京までの年表なんです。
タカノ:3万年前からスタートしていますね。始まりが「ナイフ形石器を特徴とする文化が始まる」という。
パンス:土地ができたときから始まっているんです。
Celeina:この年表に影響を受けていらっしゃるという。
パンス:これを買ったのが小学校の頃だったんですが、ひたすらこれを眺めていました。いつ朝顔が流行ったのかとか、すごく細かいことが載っているんですよ。
Celeina:小学生で?!
パンス:江戸時代って花を見に行くのが普通で、展覧会みたいなことをすごくやっていたとか、そういう細かい情報が延々と載っているんです。
タカノ:当時のことに思いをはせて、いろいろ想像が膨らむのも楽しいですよね。
パンス:そうなんです。それがやっぱり年表の楽しいところですね。
タカノ:お話しが尽きないんですが、1曲挟みたいと思います。パンスさんにこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらいました。どんな曲でしょうか?
パンス:坂本龍一さんの曲です。『年表・サブカルチャーと社会の50年』を作る時も、自分の中で勝手に坂本龍一さんを裏テーマとして設定していました。この本は1968年から2020年までを扱っているので、坂本さんのキャリアそのものを追っていくような部分もあって、坂本さん関連の情報もすごくたくさん入っているんです。あとは自分が好きというのもあり、かけさせていただきます。
タカノ:曲紹介をお願いします。
パンス:坂本龍一で”Self Portrait”。