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人気ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が描く、誰もがハマるかもしれない落とし穴

2025.11.18

#MOVIE

©TBSスパークル / TBS
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原作の精神を感じるドラマオリジナルの場面

鮎美の新しい恋人・ミナト(青木柚)に「関白宣言」めいたことを言う勝男©TBSスパークル / TBS
鮎美の新しい恋人・ミナト(青木柚)に「関白宣言」めいたことを言う勝男©TBSスパークル / TBS

ドラマオリジナルながら、そんな原作の精神を感じた場面があった。第4話、鮎美の新しい恋人・ミナト(青木柚)に、勝男が「関白宣言」めいたことを言うシーン。自分と別れて早々にふたりが同棲していると知った勝男はショックを受けながらも、ミナトに鮎美のことを託すようにこんなことを言い連ねる。

「鮎美の手料理、おいしく食べてあげてほしい。おいしいから。おいしく食べてあげてほしい」

「食器用洗剤は植物性ね。鮎美は安いのでいいって言うけど、ホントは手が荒れやすいから。それから、トイレットペーパーはダブルね。鮎美はシングルでいいって言うけど、ホントはダブルが好きだから。それから……ときどき高いアイス買ってあげて。ラクトアイスじゃなくてアイスミルクじゃなくて、アイスクリームね。ちゃんとアイスクリームって書いてあるやつ」

「それから……俺が鮎美にできなかったこと、しなかったこと、思いもつかなかったこと、たくさんしてあげてほしい。鮎美のこと、任した」

それに対してミナトは、微笑みながらこう返す。

「勝男さん、大丈夫です。鮎ちゃんは誰かに任せなくても大丈夫。……だって強いですから。僕らよりずっと」

セリフだけを並べてみると、勝男の発言には「鮎美=守られるべき可愛い女の子」という図式が透けて見え、やはり鮎美の本質を見抜けていない「化石男」のように映る。一方のミナトは、性別に関係なく、鮎美という人間の強さを信じており、彼女の自主性を尊重しているようにも感じられ、「やっぱりミナトくんは令和的価値観の持ち主だな」と思わせる。

ーーしかし、お気づきだろうか。「鮎美」という人物を軸に展開されるこの一連のやりとりが、絶妙に食い違っていることに……! 鮎美の「ケア」をお願いする勝男に対して、ミナトは鮎美の「人間性」で話をまとめようとしている。つまり、勝男とミナトの間で、アンジャッシュのコントのような「スレ違い現象」が起きているのだ! 我々、初回から見続けている視聴者の中に根づいた「勝男=化石的価値観の男」「ミナト=柔軟なイマドキの男の子」という「『あんたが』バイアス」を活かして、あたかも勝男だけに問題があるかのように思わせる非常にテクニカルなシーンなのである。

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