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食によるコミュニケーションが通じない相手の登場

鮎美試作のメキシカンおにぎりを頬張りながら職場の悩みを鮎美に打ち明ける勝男、納豆トーストを齧りながら男女の友情を語り合う勝男と椿(中条あやみ)、お手製の春巻きをつまみながら「女性らしさ」に縛られた鮎美と勝男の母・陽子(池津祥子)が共鳴しあう場面など、『あんたが』では共に同じ料理を食すことを通して、より深いコミュニケーションをしようとする人々の姿がたびたび描かれる。
しかし、最終回直前の第9話では、そもそも同じ釜の飯を食うこと自体を拒み、食べることによるコミュニケーションをさせてくれない他部署の後輩・柳沢(濱尾ノリタカ)が現れた。彼への対応から、まさかのパワハラで出勤停止になった勝男と、せっかくやりたいことが見つかったのに詐欺にあってしまった鮎美。順調にアップデートしてきたはずの二人が大きく躓いたラストスパート中で、『あんたが』は、目まぐるしく変化するこの時代、アップデートにはキリがないということも、我々視聴者に示唆するのである。