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ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は問う。アップデートはキリがない、それでも……

2025.12.9

#MOVIE

©TBSスパークル / TBS
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原作とドラマで異なる、見る鮎美と勝男の関係

原作に比べても顔を合わせる場面が多い鮎美と勝男©TBSスパークル / TBS
原作に比べても顔を合わせる場面が多い鮎美と勝男©TBSスパークル / TBS

本作前半について書いた記事では、原作の精神を感じたドラマオリジナルのシーンと、逆にドラマでは描かれなかった原作のとあるシーンについて触れたが、あらためて両者を見比べると、ドラマ版『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、原作以上に、鮎美と勝男が顔を合わせる場面が多いことに気づく。

現在刊行中の第3巻(※第4巻は12月10日発売予定)までは、鮎美と勝男がエンカウントする回数は驚くほど少ない。プロポーズ失敗後、二人が初めて顔を合わせるのは第3話。勝男がもつ焼きの美味しさに目覚めた店に、「宇宙人のような髪色」に染めた鮎美と見知らぬ男性(渚の夫・太平)が現れる。その後、次に二人が交わるのは、図書館で偶然に鉢合わせた第14話。しかし、その時も、お互いに話したいことはあったものの大して話ができず、気まずさを残したまま別れてしまう。

つまり、原作では、勝男が食べ飽きた筑前煮をカレーにリメイクするときも、鷹広兄さんにサックサクのとり天を届けるときも、地元の結婚式に出席するときも、鮎美はいない。もちろん、元カレ・勝男と今カレ・ミナトが対峙するシーンもない。原作の二人は、それぞれのコミュニティの中で出会った人々から影響を受け、勝男は鮎美のいない日常で、鮎美との思い出を反芻するのだ。

一方のドラマ版では、勝男がハマっているトレンディードラマ『フォーエバーラブは東京で』さながら、二人は何度も顔をあわせる。料理上手な鮎美が勝男にアドバイスする場面も多い。アップデート中の勝男の変化に鮎美がエンパワーメントされることもあれば、鮎美の本質に触れた勝男が気づきを得ることもある。当人同士だけでなく、白崎(前原瑞樹)と南川(杏花)とミナト(青木柚)のように、勝男を取り巻く人物と、鮎美を取り巻く人物が同じ空間に居合わせ、気づけば、共通の知り合いになることも多発した。ドラマ版は、鮎美と勝男が互いに影響を与えながら、「ふたりでの」再生物語として進んでいる印象だ。

二人がヨリを戻すかどうかはまだわからない。だが、勝男が本当に手に入れたいものは、「無理」「勝男さんにはわからないと思う」「勝男さんにはわからないし、わかってほしいとももう思わないかな」の連続コンボで一旦は幕を引いた鮎美との「真のコミュニケーション」なのかもしれない。

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