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アイナ・ジ・エンドが語る、30年間の軌跡。無名時代から、BiSH解散後まで

2025.6.9

#BOOK

コミュニケーションがとりづらかった子ども時代。ダンスの先生から学んだこと

─あらためて、どうでした? エッセイを執筆する時間は。

アイナ:去年の春夏くらいにお話をいただいて、約1年かけて少しずつ書いてました。最初は本当に文字だけを書くことに自信がなくて。インタビューしていただいて、それを文章にするという手段もあったんですけど。でもそうじゃなくて、自分で書きたいって言っちゃった手前やるしかないと思って書き続けました。

編集の方と一緒に自分が書いた文章をまとめていくなかで、編集の方から自分を解放させてくれる言葉をたくさんいただいたんですね。それに身を委ねながら二人三脚で書き上げました。

─タレント本然り、インタビューをしてそれをもとにライターが構成するエッセイなどは少なくないけど、アイナさんはそうしたくなかった。

アイナ:そうですね。本当に自分が言葉を書くのがうまくないのは重々承知していたし、自信もなかったんですけど、とにかく本が好きなので。本が好きだから自分で書きたいという気持ちでしたね。

─すごく素直な筆致の文章を綴ってますよね。カッコつけてる自分がいたら筆が止まるようなことをしていたのではないかと思うくらい。

アイナ:ありがとうございます。うれしいです。

─意外だったのは、お母さんが病院に行かせるか迷ったくらい人とコミュニケーションが取りづらい子だったと。アイナさんと話していると、それはにわかに信じ難いなとも思うんですね。

アイナ:自分でもよく変われたなと思います。

─人との関わりを通して変わっていたことが本書を通して伝わってくる。

アイナ:本当にその通りで。尾沢奈津子先生というコンテンポラリーのダンスの先生を筆頭に、先生たちの存在が大きいです。毎日、本当に怒鳴り散らされてたんですよ。例えば、みんながまだ部屋にいるのに電気を自覚なくいきなりバン! って消すような子だったので。おかしかったです。とにかくやりたいと思ったことを全部やっていく子で。

急に大声を出したくなるし、友だちと喋っていても自分の話がしたくなったらする、みたいな。それはもうダメじゃないですか。それで、ダンスの先生に「人に対してもっと感謝をしなさい」とか「愛を持ちなさい」とか「困っている人がいたら救いなさい」ってずっと言っていただいて。人間としてどうあるべきかということをダンス以外でも学ばせていただいたので。それを少しずつ理解していった感じなんです。

─突き詰めれば好奇心の衝動ではありますよね。ある意味では今もそれを持ち続けているからこそ曲も書けるし、コンテンポラリーも踊れるのかなとも思います。

アイナ:それはめっちゃ思います。やっぱりコンテンポラリーって冷静になるとすごく恥ずかしいんですよ。自分が砂になったような感覚で顔を1mmずつウェーブさせながら砂の波を表情で表現したりするんですけど、それを鏡の前で練習するんです。冷静に考えると、砂の顔のダンスってめちゃめちゃシュールじゃないですか。

でも、そこに入り込んでると涙すら出てくるんですよ。ただ冷静になった瞬間、爆笑するんです。だから、「これに没頭できる才能はたぶん自分にはあるからそれは認めよう」と思いながらコンテンポラリーをやってます。それはちっちゃい時にそういう自分だったおかげかもしれないですね。

─その才能を殺さずに、でも、この子が社会で損をしないように、人を無闇に傷つけないようにと、是正していくという教育だったのかもしれないですね。

アイナ:そう思います。先生たちに大感謝ですね。

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