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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

アイナ・ジ・エンドが語る、30年間の軌跡。無名時代から、BiSH解散後まで

2025.6.9

#BOOK

30歳になってわかった自分のルーティン。「私はリリースに救われてるんですよね」

─でも、今のアイナさんが表現していることって自分とお客さんの集中力を対峙させて共鳴するようなパフォーマンスだと思うんですね。踊ってる時もそうだし、声を出してない、あるいは音も鳴っていないような空白もめちゃくちゃ大事な表現をしているから、お客さんの歓声の多寡では測れないものもあるんじゃないかと思います。

アイナ:本当ですか? そう言ってもらえると救われます。いろんなフェスに出させていただくと、ライブ制作のチームをはじめ周りの人たちはやっぱりみんなアイナ・ジ・エンドをフェスで優勝させたいと思ってくれているので。

だから、どうしても目に見える優勝がお客さんを巻き込んでいることなのかなって思ってしまうんですね。そこにずっと身を置いていると、そこに染まってしまいそうになる。だからお客さんがちゃんとぐっと集中してライブを観る瞬間もしっかりつくれるアーティストでいたいと今思いました。

─このエッセイを読み進めて思ったのは、喫茶店で流した涙というのは、どこか刹那的に生きてきた自分に対する今後の不安の発露でもあったのかなと思ったんです。

アイナ:確かに刹那的に生きてきたのかもしれない。ちょうど一昨日もお風呂に入りながら「なんか人生もう十分だわ」って思って。でも、病んでるわけじゃないんです。もういっぱい友だちとも遊んだし、いっぱい失敗もしたし、いっぱい人に愛されてるし、マジで幸せだな、みたいな。

「べつに今、死んでも後悔ないわ」って思ってシャワーを浴びていたんですけど、「え、ちょっと待てよ!」と思って。「めっちゃ制作をがんばった新曲が夏に出るやん!」みたいな。「その前にがんばって書いてきた『達者じゃなくても』も出るやん!」みたいな。「いや、死んでる場合じゃないやん!」みたいになって(笑)。

その時にもうちょっとがんばるかって思ったんです。で、夏に新曲をリリースするじゃないですか。そうすると、夏フェスとか楽しくて、きっともう一昨日のことは忘れるんですよ。それで夏はハッピーみたいな感じで生きて、それでもまた多分ドーン! って闇が来てみたいな。でも、それもまた忘れる。いつもそうなんですけど、私はリリースに救われてるんですよね。

30歳になってルーティンがわかりました。「ああ、たぶんそろそろ苦しい時期が来るから新曲を作っておこう」みたいな。曲を作ってそれを友だちに投げとこうみたいな。たぶん曲を作る予定がなかったら、本当に家でずっと寝てると思うので。

─音楽があってよかった。

アイナ:本当にそうですね。

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