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ユーモアで国境を越える。“VISA”に込めた社会へのメッセージ
―ここからは、楽曲についてもお話を聞かせてください。“VISA”を通して伝えたかったのは、どのようなことでしょうか。
パブロ:個人としても、チームとしても、フィリピン人はとても才能があって、大きな夢を持っています。しかし、自分たちではどうにもできない仕組み(※)によって、私たちの成長や文化・音楽を世界中に広めることが妨げられているのが現状です。実際のところチャンスを掴みやすい環境かどうかって重要じゃないですか。
さらに踏み込んだ話をすると、フィリピンで本当に大きな成功を収めるためには、まず「世界での評価」が必要とされているようにも感じているんです。それがあって初めて、国内から本格的な支持を得られるというか。少し寂しいことですが、現実に大きく影響してくる部分でもあるので、こうした問題について話し合っていきたいんですよね。
※フィリピンのパスポートは世界的に見て自由度が低く、ビザなしで渡航できる国は65カ所に留まるという現状がある。
―フィリピンの人たちが深く共感すると同時に、国外へもフィリピンの現状を投げかける作品になったかと思います。制作の時点では、国内外のどちらをターゲットとしていたのでしょうか?
パブロ:両方ですね。これは特にフィリピン国内の問題なんですけど、正直すごくフラストレーションを感じていて。フィリピンには大きな可能性があるのに、その可能性を引き上げるはずの仕組みが上手く機能していないんです。そういう状況が本当に歯がゆくて。
ジョシュ:だからこそ、作品に込めたメッセージを、リスナーだけではなく、いわゆる国の上の立場の人たちにも届けたい。そうすれば、少なくとも「仕組みを変えていかなければならない」という意識が生まれて、古い慣習は進化していくはずだから。

―国内外へ向けてメッセージ性の強い曲を発信できるようになったのは、SB19の影響力が増してきたという側面もありますか?
パブロ:そうですね。影響力がないうちは、誰も話を聞いてくれない。今でこそ影響を与えられる立場になったけど、それでも僕たちは親しみやすい伝え方を選び続けています。
というのも、“VISA”ではかなり皮肉を込めたアプローチをしていて。何かを証明しようと真正面から訴えかけても、相手は聞く耳を持たなかったり、拒否されたりすることってあるじゃないですか。でも、ユーモアを交えて語りかけると、相手が受け入れやすい。だからこそ、遊び心のある楽曲のなかに意味やメッセージを織り込んで、僕たちの考えを伝えようとしているんです。