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芹沢鴨=綾野剛史上最強で最恐で最凶のヴィラン
土方は、強力な仲間を得た。だが、バトル物としてはまだ何かが足りない。そう。宿敵となるヴィランの存在だ。そのヴィランは、強く巨大で凶悪であればあるほどにいい。悪のカリスマ性があれば、なお良しだ。
筆者は常々、「映像作品における日本3大カリスマヴィランは誰か」ということを考えてきた。『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)の千葉真一(役名:大友勝利)、『ブラック・レイン』(1989年)の松田優作(役名:佐藤浩史)まではすぐに浮かぶのだが(異論は認める)、3人目を決めあぐねていた。この度、その3人目がめでたく決まった。本作における綾野剛(役名:芹沢鴨)が、その人である。

新撰組を描く際、近藤や土方らが最初に倒すべき敵となるのが、新撰組初代局長・芹沢鴨である。傍若無人な芹沢とその一派は、近藤や土方の思い描く理想の新撰組構築における、大きな障壁となる。自然、芹沢派VS近藤・土方派の対立という図式ができあがっていく。
過去作において、佐藤浩市(『新選組!』)や伊藤英明(『燃えよ剣』)らが魅力的な芹沢を演じている。しかし、本作の綾野剛が演じた芹沢は、そのどれとも似ていない。

かつて、『どついたるねん』や『鉄拳』など多くのボクシング映画を撮った阪本順治監督は、自身が撮った赤井英和や辰吉丈一郎らの佇まいを指して、「暴力の色気」という表現を使っている。これは非常にセンシティブな表現でもある。決して暴力を肯定するわけではない。だが暴力の色気、言い換えれば「悪の色気」というものが確かに存在する。本作の綾野剛からは、その暴力と悪の色気が、許容量を超えてあふれ出している。
元々、綾野剛はヴィランが似合う俳優である。『最後まで行く』(2023年)の狂気の監察官も、『幽☆遊☆白書』(2023年、Netflix)の戸愚呂弟も、『地面師たち』(2024年、Netflix)の交渉役地面師も、みな悪の色気に溢れていた。だが、本作での芹沢鴨役はレベルが違う。ヴィランとしての最高峰を極めてしまったのではないか。これから、これを超えるヴィランを演じることができるのか。今後の彼の俳優としてのキャリアを心配してしまうほどの完成度である。

天才・沖田総司との初対決において。沖田の横薙ぎの剣を、タバコだけ斬らせるギリギリでかわすその動体視力。優勢に戦いを進めていながら、最後は石で殴ってとどめとする、侍としての美学などはかなぐり捨てたその凶悪性。
「花に女に酒ってのも悪くねーが、なんか足んなくねーか? やっぱ男が一番そそるのはさ……なんつっても暴力だろ……」
ボソボソと喋りながらも明瞭に聞き取れるそのセリフ回しは、先述の松田優作を彷彿とさせる。そして、一切の綺麗ごとを廃したその暴力への欲求は、その破壊衝動は、清々しいほどである。ここで思い出すのが、先述の『仁義なき戦い 広島死闘篇』における大友勝利のセリフだ。
「わしら美味いもん食うてよ、マブいスケ抱くために生まれて来とるんじゃあないの⁉」
小悪党は、すぐに自らを取り繕うようなセリフを吐く。自らの悪に自信がないからだ。だが芹沢や大友のような大悪党は、忖度一切なしの100%本音の欲望を、迷うことなく吐くことが出来る。それこそが、善悪や倫理観を超越した、カリスマ的なヴィランたる証である。
3月27日(金)から毎週金曜日、U-NEXTにおいて配信される「京都決戦篇」において、いよいよ近藤・土方派VS芹沢派の全面戦争が描かれる。史実の知識があり、原作も読んでいる方なら、もう勝敗はわかっていることと思う。だが綾野剛演じる芹沢鴨は、すでに原作を超えている。史実や原作をも超えた展開が、期待できるはずだ。
『ちるらん 新撰組鎮魂歌』
【国内配信】
U-NEXT独占配信
スペシャルドラマ“江戸青春篇”&ドラマシリーズ“京都決戦篇” 全6話 ※毎週金曜19:00最新話を順次配信
【国外配信】
HBO Max
5月9日(土)から北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジアの一部を含む全世界100以上の国と地域
【製作著作】
THE SEVEN
【スタッフ】
<プロデューサー>
森井輝(THE SEVEN)/Netflix『今際の国のアリス』シリーズ、『幽☆遊☆白書』 ほか
井上衛/TBS×WOWOW『ダブルフェイス』、『MOZU』シリーズ ほか
下村和也(THE SEVEN)/Netflix『幽☆遊☆白書』、映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 ほか
<監督>
渡辺一貴/大河ドラマ『おんな城主 直虎』、朝ドラ『まれ』、『岸辺露伴は動かない』シリーズ ほか
<脚本>
酒井雅秋/WOWOW連続ドラマW『コールドケース2・3』、映画『ケイコ 目を澄ませて』
<音楽>
出羽良彰/Netflix『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと』、アニメ『地獄楽』ほか
<アクション監督>
園村健介/映画『ベイビーわるきゅーれ』、映画『陰陽師0』 ほか
<VFXプロデューサー>
赤羽智史(THE SEVEN)/Netflix『今際の国のアリス』シーズン3、『幽☆遊☆白書』 ほか
<キャラクタースーパーバイザー>
前田勇弥/映画『レジェンド&バタフライ』 ほか
<ポスプロスーパーバイザー>
石田記理(THE SEVEN)/Netflix『今際の国のアリス』シリーズ、『幽☆遊☆白書』 ほか
【キャスト】
土方 歳三 / 山田 裕貴
近藤 勇 / 鈴木 伸之
山南 敬助 / 中村 蒼
沖田 総司 / 細田 佳央太
永倉 新八 / 上杉 柊平
斉藤 一 / 藤原 季節
阿比留 鋭三郎 / 杉野 遥亮
原田 左之助 / 柳 俊太郎
藤堂 平助 / 宮崎 秋人
井上 源三郎 / 岩永 ひひお
市川 真琴 / 生見愛瑠
お梅 / 桜井 ユキ
新見 錦 / 奥野 瑛太
平山 五郎 / 高橋 光臣
佐々木 只三郎 / 金子 ノブアキ
岡田 以蔵 / 中島 健人
田中 新兵衛 / 安藤 政信
松平 容保 / 松本 潤 (友情出演)
高杉 晋作 / 北村 匠海
永倉 新八(明治時代) / 柄本 明
芹沢 鴨 / 綾野 剛
【クレジット】
©橋本エイジ・梅村真也/コアミックス ©THE SEVEN