INDEX
「ほっこりプリン」という「毒」

37年前の丹辺市で、いったい何があったのか。最近、ユンの家族を脅迫しているのは加賀見ではないかと、4人は詰め寄る。だが、真実の代わりに加賀見から差し出されたのは、甘さ控えめで、食べるとほっこりするという「なつかし濃厚プリン」だった。(そのときの加賀見は、さながら「お主も悪よのう……」とにじり寄る悪代官のようだった。)
このプリンは、「毒」の象徴だ。一時は再開発計画に反対していたものの、目先の利益ほしさに加賀見に買収された丹辺の人々が、知らず知らずのうちに飲まされていたものと同じ「毒」なのだ。
だが、そんな「毒まんじゅう」こと「ほっこりプリン」を、その場で突き返すどころか、各々が一度家まで持ち帰ってしまうというのが、『ラムネモンキー』のどこまでも人間臭いところで、筆者がたまらなく好きなところでもある。
加賀見にプリンを突き返していたとしても、ユンたちの胸には引っかかりが残ったはずだ。清廉潔白に生きてきたと胸を張れる人間なんて、そう多くはない。長い人生のなかで、悪気なくほっこりプリンを口にしたこともあれば、それが毒だとわかっていながら飲み込んだこともあるだろう。だって、大人になるということは、大切なものや守りたいものが、どんどん増えていくことだから。