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イ・ビョンホンに聞く、『しあわせな選択』パク・チャヌク監督との仕事、作品の選び方

2026.3.9

#MOVIE

予告編の印象的なシーンでは、イ・ビョンホンのアイディアが採用

決め手となったのは、マンスを「極端な行動に走ってしまった男」ではなく、「雇用問題に苦しむすべての人々の象徴」として捉えなおしたことだった。

イ・ビョンホン:このキャラクターを、世界中どの場所でも共感できる社会問題の巨大なメタファー(暗喩)だと考えたのです。そう思ったとたん、非常に演じやすい役柄になりました。

本作は加速を続けるグローバル資本主義や、韓国社会に残る家父長制をとことん皮肉る喜劇だ。日本を含む東アジアはもちろんのこと、アメリカ、ヨーロッパを含む世界の現在に縁の深いテーマである。

制度や伝統の呪縛にとらわれながら狂気に染まっていくマンスを、イ・ビョンホンは「殺し屋ではなく普通の男」という。その情けなさとぎこちなさが、いかんともしがたい可笑しみとなって観る者に迫ってくるのも本作の魅力だ。

『しあわせな選択』場面写真

マンスを演じるうえで、イ・ビョンホンは撮影現場でも監督にさまざまなアイデアを提案。予告編などでも印象的な、マンスが頭上に植木鉢を持ち上げるシーンもそのひとつだった。

イ・ビョンホン:マンスは製紙会社班長のソンチュル(パク・ヒスン)を狙い、彼の頭上に植木鉢を落とそうとします。しかし、最初から殺そうとするのではなく、殺意を「偶然」抱いてしまったように感じられたほうがいいと思ったのです。無意識につま先で植木鉢をカタカタと揺らし、自分の行動にびくりとする。決心してもなお迷い、戸惑い、なかなか動くことができません。

『しあわせな選択』場面写真

しかも、マンスの計画はなかなか思い描いたようには進展しない。本作の英題は『No Other Choice』すなわち「仕方がない」という意味だが、イ・ビョンホンはマンスを「苦しみと無力感を抱え、不器用ながらも“仕方なく”次の段階へ進む」人物だと表現する。

愛する家族のため、マンスはプレッシャーと戦い、屈辱に耐え、走り回り、地面を転がり、逃げ出す……。時にはスラップスティックコメディさながらに身体を張った演技には、イ・ビョンホン自身のアイデアも多数採用されているそうだ。

イ・ビョンホン:私のアイデアがあまりにも次々に採用されるので、怖くなって自制したほどです。「もしも映画が失敗したら、僕が責任を取らなければいけないんじゃないか?」と思って(笑)。

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