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Ichika Nitoと角野隼斗が語り合う音楽哲学。世界で活躍する同世代ソリストの共鳴

2026.3.6

Ichika Nito『The Moon’s Elbow』

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「ソリスト」としての音への探究と責任感

ーギターとピアノという違いはあっても、お互い「ソリスト」に対するこだわりが強いことは共通点かなと思います。

Ichika:僕は1人で全部の責任を持って完結させた音楽が生む成果にしか喜びを感じられない部分があるんです。もちろんバンドだったり、人と一緒に作る喜びもあるんですけど、それは偶然から生まれる素晴らしさだったりする。そうじゃなくて、自分が最初から最後まで責任を持って設計図を書いて、組み立てて、得たい結果を得て満足するためには、1人で音楽表現をするのが一番いいよねっていう考え方ですね。

角野:ミュージシャンにもいろんなタイプがいると思うんです。オーケストラの中で輝けるタイプ、バンドの一員として輝けるタイプ、真ん中に立つことによって輝けるタイプ。

その中で、僕の場合はソロが向いてるからやっている、という側面がありますね。正直、ピアノ1台だけステージ上に置いて、2000席のコンサートホールとかでやるのはめっちゃ緊張するし。でも、そこで自分が輝けるという実感がある。あと、自分で責任を持ちたいというよりは、自分が100パーセント自由でいられることを楽しんでいるというのもあります。責任はあるけど、自分の責任のもとで、どうすることもできる。それが大きいかもしれない。

ー1人でコンサートをやるとなると、緊張やプレッシャーもものすごくあるけど、でも1人で達成できたとき、表現できたときの喜びが勝る。

角野:それの繰り返しですね。コンサートが終わって、お客さんが喜んでいる顔を見れば、生きてる実感が得られるわけですけど、また次のコンサートの直前になると、「はぁ」(ため息をつく)って(笑)。

ー1人で演奏するソリストにとって、音そのものへのこだわりも非常に強いかと思います。それぞれどのように「自分の音」を見つけていったのでしょうか?

Ichika:音色に対するこだわりはすごくあります。普通のエレキギターのクリーンの音って、アンプを通すと、どうしてもローの音の出力が大きくなって、ハイの音が潰れて聴こえにくくなるから、自分からすると和音が美しくないと思ってたんです。それは多分キャビネットが悪さしてると思って、キャビネットを通さないようにバイパスしてみたんですよ。そうすると逆にハイが強すぎる音になるんですけど、でもこっちの方が自分のイメージには近いと思って、キャビネットを全部取っ払った音作りにしようと。

あとはEQでハイのいらない部分を全部削ぎ落とすと、6弦全部が同じ音量感で出て、各音が分離したニュートラルなクリーンの音が作れる。そこを前提にして、曲ごとの伝えたい感情を表現するために、どんな味付けをしていくのか。そういう考え方ですね。

角野:ピアノの音色は不思議というか、結局ハンマーが弦を叩くだけだから。それなのになんでこんなに音色が変わるのかっていう話なんですけど、どういう加速度で立ち上がって、ハンマーが当たっていくのか、その微妙な物理的な差が、タッチの速度カーブによって生まれるわけですよね。

僕の音は立ち上がりがとても速いと思っていて。だから特に高音において、アタックが強くて芯がある。音価の短い音でそれをやるのが、特徴だと自分では思っています。あとピアノとギターで違うのは、ピアノは鍵盤を10本まで押せるので、和音の情報がかなりあって、その和音のバランスが、我々が感じる音色に関わってきたりすると思うんです。僕はクラシック的な和声がとても好きなので、そういう和声変化に敏感で、これも自分の音色というか、スタイルの1つだと思ってますね。

Ichika:確かに和音はピアノの方が強いかもしれないけど、逆にフレーズ単位での表現力はギターならではのものだと思っていて。なので、フレーズ単位の音楽性はすごく大事にしてます。小節区切りではなく、フレーズとして音楽を分割したときの物語の起承転結だったり。

例えば、ただのタッピングでフレーズを弾いてしまうとチープになっちゃうから、左手の小指で1弦を鳴らしてる間に、右手の人差し指で2弦の音をダブらせて、1弦だけ音をキープしつつ、右手の人差し指だけ若干ビブラートのニュアンスを足す、みたいな。どうすればフレーズとして生き生きするのか、人間の心に響くのか、みたいなことを突き詰めて考えていくのは、自分ならではの音作りかもしれない。

角野:さっき「ベースでクリーンな音を作って、そこから味付けしていく」みたいな話がありましたけど、だから僕はIchikaの音が好きなのかなと思って。僕もピアノで似たようなことを考えるんです。和音を弾くときに、なぜそれを美しいと感じるかというと、それぞれの和音の構成音が透き通っていてバランスがいいからで。

「バランスがいい」というのは、大抵の場合は1番上の音がそれ以外の音に対して、ちょっとだけ芯が出ている状態。だから僕も曲を作り出すベースの部分は、クリーンでなければいけないと思っているタイプではあります。

Ichika:あとピアノからインスパイアされている音の表現があって。ピアノは音が直線じゃなくて、弧を描いてるようなイメージを持っていて、ギターの直線的な音とは違うと思っているんです。それがすごく音楽的で素晴らしいと思っているから、自分も音を出すときは、ちゃんと音が弧を描けているかどうかを意識してるんです。

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