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映画『ブゴニア』ラストの意味は? 音楽や演出の奥深さも語る座談会

2026.3.6

#MOVIE

ランティモス監督作に共通するテーマ

ヒナタカ:今作の物語は陰謀論者との対峙ということで、最初は「陰謀論者なんて間違っているに決まっている」という目線で観ていたのですが、物語が進むにつれて、単純にどちらが正しい、間違っているという話ではないのだと思うようになりました。

ミシェルはCEOなので、社会的地位のある人として真っ当に見える時もあれば、言動が極端すぎるように感じる時もある。また、陰謀論者に対しても「そんなことあるわけない」と思って観ていたら、哀しい背景や事情があることもはっきり描かれている。こうした背景を映すことで、自分自身が無意識に偏見を持っていたということに気づかされました。

竹島:今作でも物語の主となっている「監禁」は、ランティモス監督がずっと扱ってきたテーマだと思うんですよ。『籠の中の乙女』(2009年)では子供たちが幽閉されてたし、『ロブスター』(2015年)ではホテルに送り込まれているし、『女王陛下のお気に入り』(2018年)『哀れなるものたち』でも同様でした。全部の作品で閉じ込められていて、そこから解放されるというのが通底していますし、今回はさらに最後ですべてが「反転」しますよね。そういう意味で、ランティモス監督の作品は点ではなく線で追うと、さらに面白い作家だと思います。

伊藤:ランティモス監督作品はキャラクターが「支配と服従」の関係になることが多いですし、今回は会話における心理戦がその面白さにつながっていましたね。「命令するか」「従うか」、終始どちらに傾くかが分からないドキドキ感こそがエンタメになっていました。

『ブゴニア』は脚本家のウィル・トレイシーがコロナ禍に部屋にこもって3週間で書き上げたそうですが、『エディントンへようこそ』もアリ・アスターがコロナ禍に脚本を執筆し、コロナ禍のアメリカの田舎町を舞台に、陰謀論や思い込みの激しさを描いた作品でしたね。

竹島:僕も『ブゴニア』と『エディントンへようこそ』は「見ている現実が同じようでいてそれぞれ違う」という皮肉も含めて、すごく似ていると思ったんですよ。『エディントンへようこそ』は、結局スマホを通してでしか世界を認識していなかったり、『ブゴニア』は面と向かっていても会話が噛み合わないことが映し出されています。

ヒナタカ:どちらも「自分が絶対に正しい」と信じて疑わない人たちの対峙の話で、だからこそ会話が噛み合わなくて、その先でカオスなことが起こるみたいな話ですよね。

竹島:エマ・ストーンが『エディントンへようこそ』で陰謀論者の元に去っていき、『ブゴニア』では陰謀論者に拉致されるって……もはや表裏の関係にも思えますよね。

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