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スーパー登山部インタビュー。機材を背負って標高3000mの山を登るバンドのこれまで

2026.2.16

スーパー登山部

#PR #MUSIC

登山と音楽活動を並行する、異色の5人組バンド・スーパー登山部が注目を集めている。

コンポーザーである小田智之(Key)を中心に2023年に結成し、愛知を拠点に活動する彼ら。バンド名の通りメンバー5人が実際に山に登るのも特徴で、各地のライブハウスだけでなく標高3000m付近の山荘でライブを開催したこともある。

彼らの魅力はそんなユニークな活動形態だけでなく、ポップスとしての高いクオリティを持つ音楽性だ。ジャズやフォークなど様々な要素を活かした幅広い音楽性、ボーカリスト・Hinaの伸びやかな歌声、高いプレイヤースキルを持つメンバーたちの演奏やアンサンブルも聴きどころになっている。

2025年末から2026年初旬にかけては、テレビ朝日『EIGHT-JAM』の恒例企画「プロが選ぶ2025年のマイベスト10曲」において、蔦谷好位置が選ぶ2位に“燕”が選曲された。またTOKYO FM『桑田佳祐のやさしい夜遊び』の企画「桑田佳祐が選ぶ、2025年邦楽ベスト20!!」にも同曲がランクインするなど、アーティストからの評価も高い。

そんな2026年の音楽シーンの台風の目となる予感を孕む彼らにインタビューを行った。話を聞いてわかったのは、彼らの「山×音楽」というコンセプトが、単なるアイデアや企画としてだけでなく、表現の根幹にしっかりと根付いているということだった。

結成の経緯から今後の展望まで、たっぷりと語ってもらった。

スーパー登山部(すーぱーとざんぶ)
2023年結成、愛知を中心に活動中の5人組バンド「スーパー登山部」。3000m付近の山荘でのライブやライブハウスでの活動など、その名の通り登山活動とバンド活動を並行して行い、足腰を鍛えながら精力的に活動している。バンドのアートワークやグッズデザインなどはいしはまゆうが手掛け、作曲を行う小田智之の多様なジャンルの融合と自由な音楽性で、聴く人の想像力を刺激し自然や情景を思い浮かべるような物語の提供や、Hinaの感情豊かな透明感と広がりを持つ「風のような歌声」で、『山』×『音楽』をコンセプトに唯一無二の活動を行い、頂きを目指すトラバース(縦走)を続けている。

スーパー登山部結成の裏側

―スーパー登山部は小田さんを中心に結成されたバンドなんですよね。どういう風に始まったバンドなんでしょうか?

小田:僕が当時、愛知県長久手市の「文化の家」という公共ホールとアーティスト契約をしていて、その契約満了のタイミングで卒業公演をしようと思ったんです。コンサートホールでバンドとオーケストラ編成の豪華なコンサートがしたいな、と。

それで2023年の元旦に、熱田神宮で梶さんと初詣をした時に「バンドやりたいね」と、そのコンサートをするために声をかけたのがスタートでした。

左から梶祥太郎(Ba)、小田智之(Key)

―メンバーの皆さんは小田さんの音楽仲間という感じのつながりだったんですか?

小田:そうですね。それぞれ違うんですけど、Hinaちゃんは大学の後輩で、大学の先生経由で知ったボーカリストという感じでした。梶さんは大学の先輩で。いしはまくんは共通の音楽仲間のコミュニティがあって。

で、深谷さんは雲の上の存在というか(笑)。中村佳穂さんのライブでドラムを叩いてる人という認識でした。

深谷:ちょっとズルいのが、僕が酔っ払ってる時に話が来たんですよ。その時はまだ曲も知らなかったんですけれど。

小田:「この日にここで飲んでるよ」みたいな情報だけ入ったんで、遅めの時間に行ったら真っ赤な深谷さんがいて。そこで正直に「一緒にバンドやりたいんですけど、やってくれませんか?」って言ったら「いいよ」って。

深谷:あんまりそういうことを言われることがなかったので。「珍しい人がいるな」と思って。それで二つ返事で引き受けました。

深谷雄一(Dr)

―いしはまさんはどうでしょうか?

いしはま:小田くんがサポートでやってたバンドと仲良くて間接的には知ってましたが、その時はスーパー登山部っていう名前すらなかった。最初はホール公演をやるためだけの集まりだったから。僕も「それなら参加してみよう」という気持ちでした。

いしはまゆう(Gt)

―小田さんはボーカリストとしてのHinaさんについてはどう見ていましたか?

小田:同じ音大なんですけど、試験の時に先生から「Hinaちゃんの伴奏してほしい」って頼まれて行ったんです。一声聴いた瞬間に「こんな人いたんだ」みたいな衝撃が走って。「この人と何か一緒にできたらいいな」ってその時から思ってたんです。でもHinaちゃんは自分でバンド活動とかソロで歌う活動を全然してなくて。梶さんとバンドの話をした時すぐに声をかけました。

―Hinaさんはなぜそれまでソロやバンドの活動をしていなかったんでしょうか?

Hina:自分は小学校ぐらいまでは「自分が世界で一番」みたいな、学芸会で主役をやるようなタイプだったんです。でも中学校の時に入った合唱部が強くて厳しいところで、いろいろなことを叩き込まれてから表に出ることに対して壁を感じるようになって。

Hina(Vo)

Hina:理由はないんですけれど「どうせ埋もれちゃうしな」と思ったり、曲を作る自信もないし、それで能動的に動けずにいて。そのまま「就職するか、しないか」くらいの段階に来て、ようやくヤバいと思うようになったんです。

先生とか友人とかにも相談していた時に、たまたま小田さんから「バンドやろうと思ってるんだけど」って誘われて、「先がどうなってもいいから、1回やってみよう」と思いました。

自分の声がバンドサウンドと合わないんじゃないかという不安もあったんですけど、小田さんだったら自分の声に合う曲を作ってくれるんじゃないかと思って行ってみたら、この5人が集まったという感じでした。

2024年に長久手市「文化の家 森のホール」で行われたライブ

5人で山に登って、同じご飯を食べて、同じキツさを体験したからこそ生まれた結束

―そもそも、最初から「登山をコンセプトに」という話ではなかったんですね。

小田:そうですね。当時、僕の中で挑戦したいことが2つあって、1つは「バンドを頑張ろう」、もう1つは「登山を頑張ろう」だったんです。もともと登山が趣味で、雪山にも登ってみたいという思いがあったんですけど、ソロで登るのはリスクがあることを知っていたので「人付き合いは苦手だけど山岳会に入ってみよう」と決意して。そこからバンドと趣味の登山の2つが並行して進んでいきました。

―「スーパー登山部」という名前の由来は?

小田:初ライブの時にバンド名を決めなきゃいけなくなって。みんなと話した時に、深谷さんが「スーパー登山部どう?」みたいに言い出して。

Hina:小田さんが登山してることは4人とも知っていて。うちらはその時はまだ誰も山に登ったことがなかったんですけど、興味はあったんです。それで「名前を決めよう」となった時に「スーパー登山部」ってつけたんです。「スーパー」は、梶さんが作ったこのメンバーのLINEグループの名前が「スーパーバンド」だったので。

梶:その名前は本当に適当につけたんですけれど(笑)。

小田:で、「『スーパー登山部』という名前でやるんだったら、みんな1回は登山しようよ」と言ったら、みんなも「いいよ」って言ってくれたという。

―皆さんは「登山しよう」と言われてどう思ったんですか?

いしはま:僕はもともと興味がありました。富士山に登ってみたいという目標を持ったことがあって、その時に小田くんに相談して「富士山に登ろう」というLINEグループまで作っていた状態だったので。

Hina:私も登山をしてみたい気持ちはありました。今みたいな状況になるとは思ってなかったですけど、運動は好きだし、趣味になったらいいなとは思ってましたね。ただ、ハードルが高かったので。リスクもあるし、山を知ってる人についていく形じゃないとなかなか登山を趣味にはできないなと思っていたので。

「ちょうどいいじゃん、連れてってもらおう」って思って。それで、初ライブをした時の物販の売上で登山靴を買わせてもらって、5人全員で初めて登山をしました。

深谷:僕は年齢が一番上だし、健康を意識していたので乗り気でした。

梶:僕は「まあ、やってみてもいいかな」みたいな感じでした。

―全員が一緒に登ったことで、音楽的な結びつきだけじゃないバンドの結束が生まれた感覚はありましたか?

いしはま:そうですね。普通のバンド活動だったら時間をかけて団結していくところを、早く結束できた感覚はあるかもしれない。5人で山に登って、同じご飯を食べて、一緒に行動して、同じキツさを体験していたので。

―小田さんとしてはどうでしょう。1人で登山するのとバンドで登山するのはどういう違いがありましたか?

小田:シンプルに、人と登るのは楽しいなと思いました。自分はもともと人付き合いが得意ではないし、話すのも疲れるタイプなんですけど。山登りを通してメンバーの個性が見える、人となりに触れられることが、音楽やバンド活動にも自然と生きていると思います。

もちろんバンド活動においては音楽的なやり取りがコミュニケーションのメインではあるけれど、そうじゃないところにも音楽の本質が詰まっていると思うので。そういったものを登山の活動の中で感じたり受け取ることができているのは、それまでの音楽活動とは全然違うなって思います。

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