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『じゃあつく』とは違った魅力的な表情を見せる竹内涼真の演技

様々な要素を持ちながら1つのドラマとして違和感なく成立させるに当たって大きいのは、なんといっても主演を務める竹内涼真の力だろう。
現時点で、淳一は作中で最も葛藤を抱える人物といえる。刑事として、幼なじみを犯人として疑わなければならない一方で、自分が所属する警察組織に対しては自らと事件の関わりを隠し通さねばならない。更に、淳一にとって万季子は初恋の相手。万季子と圭介が結婚していたことも、淳一の心にわずかなひっかかりを与えている。竹内は、そんな正義感と罪悪感、個人的な感情が入り混じる役を見事に演じている。
第1話で圭介が万季子の元夫だと知った時、第2話で万季子に髪を切ってもらっている時、そして、第4話で息子の正樹とキャッチボールして欲しいと万季子から電話で言われた時の表情の素晴らしさ。いつもは理性的な淳一だが、万季子と再会し初恋の情が刺激された時や、圭介からもあの頃の思いを煽るような言葉をかけられた時には、隠している感情を垣間見せる。竹内が見せる表情からは、淳一の言えない言葉と明かせない苦悩の大きさをありありと感じられる。竹内の理性と本能の狭間にいることが伝わる芝居が、本作のヒューマンドラマ、ラブストーリー、ミステリーとしての面白さを実現している。
2025年10月期に大きな注目を集めた『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)で竹内が演じた海老原勝男は、頭に浮かんだ言葉をすぐ口にしてしまう男性だった。勝男は、他者から得た気づきを自分で言葉にし直すことで、新たな価値観を自分のものとして取り入れていく。竹内はその表情を通して、自分の言葉で自分を変えていく勝男の成長を見せてくれた。
勝男が成長し続ける主人公であったのに対し、淳一は立ち止まりながら周りに乱される主人公だ。誰もが応援したくなった憎めない勝男と、過去に縛られ葛藤し続ける愚かさも持つ淳一。竹内は昨期と今期で、大きく異なる魅力的な主人公像を見せている。