数々の名作ドラマを生み出してきたTBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」に新たな異色作が誕生した。
『リブート』(TBS系)は、初回から、主人公・早瀬陸を演じるのが人気俳優・松山ケンイチであることが作中でサプライズ発表され、しかも、鈴木亮平演じる刑事・儀堂歩に顔を変えてなりすます(=リブート)ことになるという怒涛の展開が話題となり、毎回、視聴者による考察合戦が繰り広げられている。
その後も、状況はスピーディーに変化し続け、多くの個性的な登場人物が現れながらも、裏社会の手によって次々に消されていく展開は、「ショート動画時代の連続ドラマ」を感じさせる。
『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』『マイファミリー』『ラストマン-全盲の捜査官-』(共にTBS系)など話題作を次々に生み出す脚本家・黒岩勉が構想に3年を費やした本作について、ドラマ映画ライターの古澤椋子がレビューする。
※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
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考察ドラマ×ヒューマンドラマ

「考察」ブームに応えるように、テレビドラマでも『あなたの番です』(日本テレビ系、2019年)以降、視聴者に考察の楽しみを与えることを企図した作品が精力的に制作されている。ミスリードを生む描写を充実させたり、思わぬ設定が後半で明らかにされたりと、伏線やイースターエッグのあり方も多様化している。
日曜劇場『リブート』(TBS系)も、そんな考察ドラマに属すると言えるだろう。犯人を見つけ出す基本的なミステリー要素を軸にしながら、「顔を変えて他人になりすます=リブート」という特殊設定があることで、何が起きてもおかしくない、どの登場人物のことも信用できなくなる仕組みを作り上げている。熟練の演技巧者たちvs視聴者といった様相の考察ドラマだ。
そして、そんな枠組みのなかで、妻を殺した犯人を見つけ出したい、病気の妹を救いたいといった大切な人を想う根源的な願いが描かれているのも本作の特徴だ。大切な人のために行動する人物たちが描かれることで、途端にヒューマンドラマの空気も漂ってくる。