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森田座アベンジャーズたち
その森田座の面々を、本作の監督・源孝志は「森田座アベンジャーズ」と呼ぶ。先述の滝藤賢一、高橋和也以外にも、渡辺謙(立作者・篠田金治)、瀬戸康史(木戸芸者・一八)、正名僕蔵(小道具方・久蔵)ら、手練れの俳優たちが名を連ねている。中でももっとも印象に残ったのは、二代目芳澤ほたるを演じた高橋和也だ。

彼の演じる役柄は、おそらく不美人な女形という設定だと思われる。周囲もそのような扱いだし、本人もお歯黒を剝き出し、そのように演じている。原作においても、自らを「下手物(ゲテモノ)」と称している。だが、何人の方がそう思ったかは定かではないが、筆者の目には、この人物が美しく映った。
「こんなもん、女ちゃうわ。化け物や」
「たしかに化け物や。せやけど、美しい化け物やで」
映画『国宝』(2025年)の中での、喜久雄(黒川想矢)と俊介(越山敬達)のセリフが、頭をよぎる。近年でこそ味わい深いおっちゃんの役が似合う高橋和也だが、元々は長尾謙杜と同じ事務所の大先輩だったのだ。『ロックよ、静かに流れよ』(1988年)や『KAMIKAZE TAXI』(1995年)など、1980~90年代の高橋和也は、確かに美しく、そして儚かった。刹那的な若者が生き急ぐ様を、スクリーンに焼き付けていた。