ポップスターという存在が、高度なリテラシーと身体能力を求められる「総合競技のプレイヤー」へと変質した2020年代。その過酷なサバイバルの最前線で、圧倒的な完成度を武器に突き進んできたのがXGである。
しかし、待望の1stアルバム『THE CORE – 核』が提示したのは、単なるストイックな自己研鑽の成果ではなかった。本作で彼女たちが到達したのは、徹底した訓練の先にしか現れない、予測不能な「わくわく」という名の解放だ。ヒップホップ / R&Bという強固な「核(コア)」を抱えながら、宇宙的な視点で既存の定義を軽やかに飛び越えていく本作の本質を紐解く。
INDEX
ポップスターにさまざまなリテラシーが求められる時代
近年、ダンス&ボーカルグループのプレイヤーに求められる能力は、明らかに変質している。ポップの総合競技化によって、歌唱力やダンススキルはもはや前提条件となり、ジャンル史への感度、黒人音楽やクィアカルチャーの歴史と実践へのリテラシー、政治や人種をめぐる理解、さらにはインタビューやMCでの即応力までが同時に問われるようになった。
勉強不足や無自覚は許されにくくなり、ポップスターは単なる「才能のアイコン」にとどまらず、複数の能力を横断的に試される総合競技のプレイヤーへと姿を変えている。
ポップは夢を叶える場所であり続けながらも、より複雑で可視化された環境をどう生き抜くかを示す、サバイバルのモデルへとその性格を変えつつあるのだ。
そういった状況のなかで、XGもアスリート的といえるトレーニングによって、結成以来驚異的な成長を遂げてきた。徹底的に鍛えられた身体感覚とパフォーマンス力、さらに知性も人格も磨かれたメンバーたち。その完成度の高さによって、多くのリスナーが心を動かされ、日常を乗り越えるための力を受け取っている。