INDEX
「心が病んでるんじゃないですかね、みなさんが」
─アルバムの核になる曲はどれだと思いました?
坂本:“あなたの場所はありますか?”は、自分としては今まであんまりなかった感じの曲ができたと思ってます。前からやりたかった「定型のブルース進行だけど変な曲」っていうのがやっとできた曲でした。あと“麻痺”は、ライブでやっても盛り上がりそうだし、こういう曲も作るのが難しいので、できてよかったなと思ってます。
─新作で、なかなか歌詞ができなかった曲はどれですか?
坂本:残っていたのは、“麻痺”、“脳をまもろう”、“時計が動き出した”、“なぜわざわざ”の4曲です。
─どれもアルバム中盤の重要な曲ですね。とりわけ“時の向こうで”から“なぜわざわざ”の流れには身をつまされます。“時計が動き出した”での<魔法が解けてきた><時計が動き出した>ってどういうことなんだ? と考えさせられたり。
坂本:はい。
―“麻痺”の<心が薄い><体が遅い>も絶妙な表現だと思います。SNSのスピード感、AIが浸透する社会への「麻痺」でもあると感じられるけど、でも元には戻れないと歌われる。“なぜわざわざ”では音楽への賛同みたいなものが提示されますけど、過去形です。
坂本:多分、心が病んでるんじゃないですかね、みなさんが。そう聴こえるのは、ちょっとナイーブになってるところもあると思います。まあ、自分も含めてかもしれませんけど。今回、あれですかね、そんなに歌詞で怒りを出してますかね?
─直接的に怒りの表現を受け取ったわけではないです。でも、これまではもう少し違う言葉や表現だったものを、坂本さん自身が先ほど言ったように、割と言葉を選ばずにシンプルに言ってるのかもしれない。
坂本:『ナマで踊ろう』(2014年)のときもそういう言われ方はありました。
─それはそうなんですけど、さらにシンプルですよね。それに、坂本さん自身が感じているからこそ言葉になるんだろうし。
坂本:まあ、思ってないことは書けないんで、何かしら自分が思ってることではあるんですけど。とはいえ、自分が経験したことだけで全部が成り立ってるわけではないです。