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裁判を通じて何を選んだのか、また「選ばされて」いたのか
恋愛に身をゆだね、所属事務所に訴えられてもなお真衣の人生はつづく。グループを辞めてもアイドルへの憧れは消えない。真衣は今も応援してくれるファンに対し、画面越しに語りかける。その一方、裁判の日々を送るなかで敬との関係は少しずつ変わっていく。

うねりを見せながら展開する物語は、最後に「これは山岡真衣という女性の、長い青春を描いた物語だったのだ」という印象を残す。大きな夢に憧れ、社会との折り合いがつかない恋をして、それぞれに感情を燃え上がらせ、そして圧倒的な現実に直面したあと、いったい何を引き受け、そこには何が残るのか。そのプロセスを深田はじっと見つめながら、複数の「傍観者たち」に重要な役割を与えている。
真衣役を演じた齊藤京子は、元・日向坂46のイメージを身にまといつつ、アイドルとしての表情、恋に落ちた少女としての瑞々しさ、そして法廷で見せる光のない目から、「山岡真衣」という人物を多面的に演じている。

また、「傍観者たち」のひとりであるマネージャーの矢吹早耶役に唐田えりかを起用したキャスティングも挑戦的。彼女が許されぬ恋を断罪する法廷シーンでは、決して多くないセリフの外側にある人間味が豊かに表現された。

『恋愛裁判』が「恋愛」と「裁判」の向こう側で描き出すのは、「その後」の人生を生きていく真衣の選択と決断だ。裁判のなかで、真衣は否応なく考えることになる。自分はいったい何を選んだのか、また「選ばされて」いたのか──。
そのとき彼女にとって、「恋愛禁止」をめぐる裁判は人生そのものと深く重なり合っていく。観客もその過程で、真衣とともに、アイドルという存在や「恋愛禁止」という倫理の意味を問い直すことになるだろう。

『恋愛裁判』

出演:齊藤京子、倉悠貴
仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜ひなの
唐田えりか、津田健次郎
企画・脚本・監督:深田晃司
共同脚本:三谷伸太朗
音楽:agehasprings
製作:東宝 共同製作:ノックオンウッド agehasprings ローソン
制作プロダクション:ノックオンウッド TOHO スタジオ
配給:東宝
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