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齊藤京子主演『恋愛裁判』が描く、アイドルの恋愛の是非ではない「身近で静か」な青春

2026.1.29

#MOVIE

ラブストーリーから法廷に移ろう2部構成

もっとも、『恋愛裁判』はそのまま恋愛映画として進んでいくわけではない。真衣の決断をきっかけに、物語の時間は8か月後にいきなり飛ぶのだ。所属事務所から「恋愛禁止」違反で訴えられた真衣は、法廷で厳しい追及を受ける。

ⓒ2025「恋愛裁判」製作委員会

そのとき、映画の空気は明らかに変わる。タブーであるはずの恋愛に突き動かされていた感情の熱や密度はいきなり色褪せ、そのかわりに恋愛という「問題」を語る外部の言葉が現れてくる。

そもそもアイドルの日常は、パフォーマンスや握手会、ライブ配信だけでなく、レッスンや取材、SNSに至るまで、すべてが演出であり、同時に労働だ。マネージャーの早耶が「アイドルはファンありきの仕事」と言うように、「恋愛禁止」とは一般の道徳ではなく、あくまでも商品のイメージを毀損しないためのもの。したがって、ビジネス上のルール違反は損害賠償という「数字」に変わる。

ⓒ2025「恋愛裁判」製作委員会

冒頭にも触れたように、本作はスリリングな法廷サスペンスではない。したがって「恋愛禁止」を破ったことの是非や、真衣と敬の恋愛をめぐる攻防が描かれるわけでもない。そのかわり、恋愛はことごとく金銭に換算される。ここでいう「倫理」とは、善悪を裁定するものではなく、リスクを管理するための制度のことだ。

夢のようだった時間は、現実によってたちまち回収される。ファンタジックなラブストーリーから、乾いた日常生活や、淡々とした法廷などの手続きへ。

本作の2部構成は、「青春」と倫理の間に横たわる深い溝と、「倫理」なるものが現代の資本主義によって支えられている可能性を浮き彫りにする。

ⓒ2025「恋愛裁判」製作委員会

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