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『いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年』
杉原:『いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年』では、1945年の日本の敗戦から、1965年の日韓国交正常化までの期間を扱った第1章の「はざまに―在日コリアンの視点」が特に印象的でした。日本の統治から解放された朝鮮半島の人たちは、その後も故郷の分断や国籍選択に迫られます。同章では、のちに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に渡り消息を絶った曺良奎など、そんな時代を生きた在日コリアンの作家や、当時の人々を追った後の進世代の作家による作品が見応えある形で紹介されていました。
本展はソウルにも巡回するのですが、現地では出品が難しい作品もあるとお聞きし、その意味でも観るべき展示だと思います。ちなみに、南島さんは横浜美術館時代に本展の企画の初期段階に関わっていたそうですね。
南島:はい、まさに企画の立ち上げ時期に在籍していました。複雑な歴史背景を持つ作品も含むこの展覧会をラインナップに入れたことには、大きな意味があると思います。どの美術館もそうですが、企画展単体ではなく、一年の企画展を俯瞰してみえてくることもありますね。横浜美術館の場合は、昨年まで勤めていたので、やや内部からの視点になりますが、2025年は休館を経た横浜美術館のリニューアルオープンの一年であり、その記念の企画展が『おかえり、ヨコハマ』『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』『いつもとなりにいるから』の3つだったところに、様々な人々に開かれた場所をめざすという今後の美術館のビジョンが表れているのかなと感じました。