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『周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-』、『ゆーとぴあ』展
中島:最後に、僕の2025年の印象的だった展示も紹介します。まず一つ目は、広島にある下瀬美術館でやっていた『周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-』です。取材にも行きましたが、下瀬美術館自体は新しくできた、坂茂が建築を担当している美術館です。2024年にはベルサイユ賞というフランスの建築賞に登録されていて、建築がすごくよかったですね。「環境」をキーワードに、サイトスペシフィックな地勢をリサーチした上で作っていて、瀬戸内海の風景に馴染むようなブロック状の可動展示室が非常に面白かったです。
そして日本人はもちろん、インドネシア、中国、韓国など、東アジアの作家が混在していて、アーティスト同士の連帯が実践されていた展覧会だったなと思います。日中関係や台湾情勢なども含め、東アジアの緊張感が高まっている中、アートができる一つのいい形を見せてくれたのかなと思いました。
中島:あと僕自身がアーティストなので、今年は自分の個展をすごく頑張ったぞ! ということで紹介させていただくと、3月に新宿にあるWHITEHOUSEで『ゆーとぴあ』展をやりました。現代を「分断と紛争の時代」と見立て、アイロニーとユーモアを行き来しながら「友と敵」の二項対立を乗り越えようと試みた展示です。『万博』の開催とタイミングを合わせたところもあり、『万博』会場向かいの海岸線を舞台にしたビデオ作品を展示しています。僕は単純な反万博というよりは、『万博』というモチーフから色々なものを引き出せるんじゃないかと思って作った部分があって。芸術祭や、ギュスターヴ・クールベが初めて行ったアーティストの「個展」など、色々な現代のアートフォームのルーツになっている『万博』を通して、我々がやっているアートの原理的な部分を見る、という気持ちで作った展覧会になっています。