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『シャルジャ・ビエンナーレ16』
中島:次は池田さん、お願いします。
池田:私が取り上げたいのは『シャルジャ・ビエンナーレ16』と『BENTEN 2 ART NIGHT KABUKICHO』です。どちらも芸術祭ですね。『シャルジャ・ビエンナーレ16』は2025年2月6日から6月15日にやっていたビエンナーレで、200名程度のアーティストが参加しました。1993年から開催されている、中東で最大かつ最古のかなり大規模な芸術祭になっています。
池田:『シャルジャ・ビエンナーレ16』では、過去にも複数のキュレーターがディレクションすることがあったのですが、今回はグローバルサウス(※)から選出された、5人の女性がディレクションしていました。複数人が関わると、会場やスペース、セクションごとに担当をある程度振り分けますが、この5人は、最初の段階から候補作家やその背景について十分に話し合い、作家 / 作品同士がどう響き合うか丁寧に検討していたそうです。結果、複数のキュレーターが同じ空間のなかでキュレーションを行い、一つの大きなナラティブを紡いでいる会場もあったことが印象的でした。
また、今回のテーマは「運ぶ」や「携える」を意味する「to carry」で、歴史や文化、記憶、コミュニティをどのように携え、継承していくのかという問いが据えられていました。このテーマは彼女たちが対話を繰り返して展示を構築したプロセスとも共鳴しています。異なる出自をもつ5人の視点が重なり合うことで、アジア / ヨーロッパ / アフリカという土地性を体現する、多声的な空間が成立していたように思いました。
※アジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国の総称
池田:また、私が参加したキュレータープログラムのテーマが「Unpacking Infrastructure: to carry」で。制度的・官僚的に整備されたインフラをキュレーターがどのように解きほぐすことができるのかという議題について、東南アジアやアフリカなど、各地から集まったキュレーターたちとディスカッションをしました。一貫して、キュレーターが展示を構成するだけでなく、どう社会に働きかけるのかがテーマに挙がっていて、自分たちのやっている活動がインフラに繋がっていくところにまで意識が向いていたのが非常に面白いなと思いました。