予想のつかない展開の連続で、毎週、ドラマ好きを魅了し続けているドラマプレミア23『シナントロープ』(テレ東系)が最終回を迎える。
「人間の生活圏や人工物を利用して共生する野生の動植物」を意味する「シナントロープ」という名のバーガーショップに務める若者たちは、後半、「害虫・害獣」を意味する裏組織「バーミン」の面々によって、街に潜む闇に巻き込まれていった。
最終回直前、いくつもの伏線が回収されながらも、まだ謎が多く残る本作について、前半を振り返った記事に続いて、ドラマ・映画とジャンルを横断して執筆するライター・藤原奈緒がレビューする。
※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
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若者たちの青春群像を輝かせる「闇」の魅力

「闇があるから光がある」とはよく言うが、まさに『シナントロープ』は、そんな「闇」の魅力に圧倒されるドラマだった。折田(染谷将太)を中心とした裏組織「バーミン」の面々はもちろんだ。さらに、一方が水町(山田杏奈)の殺された父親であり、もう一方がバンド「キノミとキノミ」のメンバー・シイであることが判明した「ずっと向かいの部屋を監視しているおじさん(山本浩司)と若い男(栗原颯人)がいる暗い部屋」という過去パートがあるからこそ、バーガーショップ「シナントロープ」の「何者かになりたい」若者たちの青春群像がより一層輝いてみえる。