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クラブの摘発から始まった転機。音楽に専念する決意
再び、もとの音楽に溢れた生活に戻ったある日、事件は起きた。
KM:当時、西麻布のクラブでレジデントDJをしていた時に、風営法違反でクラブが取り締まられたんです。
ドラマの潜入捜査のような出来事が、2013年10月に起きた。しかも、会社を辞め、音楽に専念しようとした矢先の出来事。クラブは一時的に閉店に追い込まれる。
KM:少しは貯金があったし、バイトをしながら食いつないでたんです。でも貯金はどんどん減っていくし。

窮地を救ってくれたのは広告業に就く先輩だった。昼間は、その人の会社でバイトとして資料を作る日々が始まる。
KM:でも企画書が書けないんですよ。「書けないのは致命的だぞ。書けないってことはまず読めてない。それなら読んで吸収しないと書けない」と言われて、本を書き写してました。
面倒見の良い先輩のように見える。だが、その先輩は「仕事の上司としては悪魔みたいに厳しい人だった」と笑う。
KM:怒られるのに忙しくて、仕事にならなかったですね(笑)。
企画書を書くために始めた書写。西麻布のクラブでDJをしていた時、客には企業の社長など社会的地位が高い人が多く、若き日のKMはそうした人たちと会話を交わした。ただの大学生が簡単にできる経験ではない。
KM:成功してる人たちが口を揃えて言ったのが「成功したいなら本を読め」ってことでした。何度も言われましたね。そういう影響もあって、本を読み始めたんです。
DJとアルバイトを掛け持ちする中で、KMは一つの結論に達する。
KM:広告業の先輩にバーを任せてもらったんですけど、どう考えても利益を出すのは無理だった。経営もできない、広告の会社で企画書も書けない。俺にはDJと曲作りしか褒められたことがなかった。それしかないなと思った時期かもしれません。
