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体験型アトラクションやミュージカルで新たな魅力を切り拓いた
同時に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の特異性は、映画以外の形でその体験を伝えつづけたところにある。とりわけ親しまれたのは、ユニバーサル・スタジオの「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」。フロリダとハリウッド、そして日本の3つのパークで稼働したが、とりわけ日本では2001年のオープン時から世界で最後となる2016年5月まで来場者に愛され、累計体験者数は6000万人を超えた。

この「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」は、大スクリーンと揺れ動くデロリアンによる屋内アトラクション。乗客はドクとともに8人乗りのタイムマシンに乗り込み、デロリアンを奪ったビフ・タネンを追いかけるなか、タイムトラベルを自らの身体で味わうことになる。映画を観ていなくても楽しい、ユニバーサル・スタジオを代表するライドだった。
ほかにもビデオゲームやコミック、小説、ピンボールなど多様なかたちで展開してきた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズだが、その到達点が世界各地で上演されているミュージカル版だろう。2020年にイギリスで初演され、2023年にはアメリカのブロードウェイに進出。2025年4月からは、外国語版として初となる日本版が劇団四季により東京で上演されている。
ミュージカル版は映画の第1作をベースに、よりコミカルなタッチで展開。劇場空間全体が回路の基盤めいたデザインのなか、歌とダンス、テクノロジーとイリュージョンが融合した約3時間だ。
目の前で展開する怒涛のスペクタクルと、身体表現と映像表現が完璧に調和したサプライズの連続は、映画ともライドとも異なるライブ・エンターテイメントならではの体験。これぞ、新たな体感型『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。
