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オープニングの変化に見る滝野の自立

本作が、殊更丁寧に師弟関係を描いてきたのは、「継承」が1つのテーマでもあるからだろう。最終回前の最終章前後編となった第6・7話は、終末期医療と向き合う2組の師弟、つまりは総合診療医・徳重晃と「弟子」滝野みずき(小芝風花)、そして徳重の師匠である赤池と徳重の物語だった。そして、滝野の成長譚でもある。
第6話の冒頭で滝野は、「なんでも治せるお医者さん」になりたくて医者を志したと語った。そんな彼女は、肺がんステージⅣと診断された半田辰(石橋蓮司)を担当することになり、治すことができない彼の限られた「これから」に向き合う。
そして、第7話は、滝野の自立の回だった。前半を振り返った記事で解説したように、本作はタイトルが表示されるオープニングショットには、その回でフィーチャーされる人物が映し出される。そのオープニングで、普段は徳重が座っている総合診療科診察室の椅子に滝野が座り、一方の徳重は少し離れたところに立っていることが示すように、第7話では不在の徳重に成り代わって、彼女が総合診療科を動かしていった。周囲の医者たちとの連携を深めつつ、患者・小田井(マギー)の抱えている悩みときちんと向き合う、滝野の迷いのない姿からは、彼女の成長を見て取ることができた。