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バラバラなものをまとめる美学
泡沫:最後の“To Me From Me”っていう曲がちょっと意外というか、昔のラジオから流れてきたみたいな曲で、この曲だけ急にレトロ感を出してきたなと思ったら、プロデュース / 作詞 / 作曲にEPIK HIGHのタブロが入ってるんですよね。
セメント:あえて統一していないんだろうなと思いました。こういうバラバラなものを好きなようにまとめているのが、私たちの美学なんです、という宣言にもとれる。デビュー曲以来のブレイクスルーだなと思いました。
—いまお話にありましたが、今作に参加しているプロデューサーやミュージシャンは、どういう方々なんでしょうか?
泡沫:本当にいろいろです。K-POPでおなじみの北欧系のソングライターの人たちも関わってますし、LDN Noiseとか。
セメント:LDN Noiseは2010年代のK-POPに現れ、数々のヒット曲を残していったプロデューサー2人組ですね。
泡沫:そうですね、SHINeeとかで有名です。
セメント:あと、Balming Tigerのオメガ・サピエン(Omega Sapien)も参加していますね。
つやちゃん:いろんなプロデューサーが関わってサウンドがばらばらなのを、まとめ上げているクリエイティブディレクターのチョン・ヘウォンの力を感じるというか、よくこれだけの統一感を持ってまとめ上げられたなとびっくりしますね。
泡沫:STARSHIP(=KiiiKiiiの所属事務所)がどういう曲作りをしているのかちょっとわからないんですけど、大手の会社だと、年次のはじめにまとめて200曲ぐらいを買ったり、いろんな人にソングキャンプで曲を作ってもらったのを、いろんなグループに振り分けたりしているらしいんです。だから、「こういうアルバムを作るから、こういうふうな曲作ってくれ」というのとは、全く違うんですよね。
セメント:そうなんですよね。だから、他人のプレイリストを覗いてるような雰囲気もあるんですよね。この並びが醸し出す雰囲気、断片から伝わってくるものを味わってください、という、高度なことをやってますよね。雑然とした雰囲気から、なにか一貫したものが感じられるという。ムードのために音楽があって、メッセージのために音楽があるわけではないのだと思います。
泡沫:まさに本当に、ムードボードを見せられている感じですよね。
—音楽的な面での面白さも話題になっているようですが、どのようなところが高い評価を受けているのでしょうか?
つやちゃん:UKガラージ風の2ステップ感のあるサウンドとか、ちょっとディープハウスっぽいサウンドを感じられる曲もあったりとか、クラブミュージックの手法、多様なジャンルアプローチがなされているんですけど、その使い方がNewJeans以降の軽やかなニュアンスでブリーチされているので、聴きやすいけど先鋭的でもあるっていう、そういったところがウケているのかなと思います。