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常識の押し付けで孤立させていないか
ー『言ってはいけないクソバイス』の後書きにも「相手を心配し、事情を丁寧に聞き、そこから生まれるアドバイスをするときは気持ち良くなんかないはずです」と書かれています。
犬山:そうそう、全然気持ちよくないですよ(笑)。相談に乗る方も、同じくらい苦しいですから。
ー「自分が気持ちよくなっていないか」は、相談に乗る時は常に自問自答しないと危ないですね。
犬山:「いいこと言ってやった!」みたいな瞬間は、本当にダメですね。
ー最初は気をつけていても、いつの間にか気持ちよくなっちゃったり……。
犬山:「あれ、私のターン長いな?」っていう(笑)。気持ちよくなっちゃった相談ほど、相手が自分のアドバイス通りにしないとイラッとするんですよ。「あんな男やめとけって言ったじゃん!」みたいな。例えば、明らかに別れた方がいいモラハラパートナーであっても「今すぐ別れなよ」って言ってしまうのはあまり良くないと、最近まで知らなかったんですよね。
ー暴力を受けているような場合でもですか?
犬山:緊急保護しなくちゃいけない時は通報するなり然るべき機関に繋ぐことが大切ですが、そうではない場合「別れなよ」って言ってもDV被害にあっている人は環境的にそんなことすぐできないんですよ。そもそも洗脳されて自分が悪いと思わされているパターンも多々あるし、報復が怖くて逃げられない、逃げた後の生活、自分の仕事や住む場所、子供がいれば子供の学校もどうなるかもわからない。そこをすっ飛ばして第三者が「別れなよ」と言うのは、言う方は気持ちが良いけれど、言われた側は責められたような気になって再度頼りにくくなる。「別れろって言ったじゃん!」って責めてきそうな人にはもう相談できないじゃないですか。だから、そういうときは否定せず話を聞きながら、専門家に繋げるようにしています。友人としてできるのは、相談に乗る門戸を開いておくことと、専門家につなげるよう働きかけることなのかなと思っています。
私もやっぱり心配だから、ついつい相手の事情をすっ飛ばしてこういうことを言っちゃうこともあるし、それの全てが悪いと言うわけではないと思うんですけど、多分一生後悔しながら考え続けるんだろうなと思います。
ー「そんな会社辞めちゃいなよ」とか「今すぐ地元を出た方がいい」とか、常識に照らせばそうなんだけど、そうできないから困ってるんだよ、と。
犬山:意を決して相談したのにそう言われるのなら、もうしないでおこうと思っちゃうかもしれない。もしそうなったら、相談してくれた人が孤立するのが怖いですよね。
