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近著『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』での変化
ー『言ってはいけないクソバイス』には、各エピソードの終わりに言い返すための文言「クソバイス返し」が載っています。もし今犬山さんがこの本を作るとしたら、クソバイス返しで反撃するのとは違うコンセプトにするような気がするんですが、いかがでしょう?
犬山:本に書いたようなことを実際に言い返すのは難しいと思うんですよね。あれは、心の中の田嶋陽子さんに正論を言ってもらってスッキリしようみたいな感覚だったんですけど(笑)。今だったら、心をどうリカバリーするかに重きを置くと思います。ノーガードでクソバイスを受けると、自責させられますから。出来事を俯瞰で見て自尊心を保つためにはどうすればいいか、心理学の先生とかいろんな人に話を聞きにいくんじゃないかな。なぜクソバイスが生まれてしまうのかと言う構造についても考えて、章を設けるでしょうし。あと、女性だけの本ではないので、男性の声ももっと聞きたいですね。
ー『言ってはいけないクソバイス』の頃より、近著『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』では専門家の話を聞くことの比重が増えていますよね。
犬山:それは分野によって何が良いか変わるかもしれません。いろんな人の体験談を聞くことも、専門家の話もどっちもすごく大事だと思っているんですけど、これまで研究者が積み重ねてきた知見を無視するのは違うなと。私がない知恵を振り絞って机の上で2週間かけて考えたことも、専門家に聞けば1分で「そうか!」とわかることもある。この「そうか!」を自分に落とし込んで、周りの友達とか読者の方々にどう伝えるかを考えるのが私のやることだと思うので。

ー私たちが人生相談を受ける時は、素人の立場から答えることがほとんどだと思うんですよね。軽々しく素人診断してはいけないのは当然としても、全て「専門家に聞いてください」では相談に答えたことにならないし、専門家の知見をもとに自分なりの意見を言うというバランスが大事なんだなと。
犬山:人生相談って、つい魔法の言葉を探そうとしちゃうじゃないですか。相談された側は「その一言で楽になりました」って言ってほしい欲が出ちゃう。でも、その欲は絶対に捨てなくちゃいけない。人の相談を踏み台にして気持ちよくなったらダメなんですよね。
何で素人に相談するのかというと、「ねえねえ、ちょっと聞いてよ」ってことだと思うんです。カウンセリングしてほしいわけじゃなくて、まずは否定せずに話を聞いたいんじゃないかな。その話に対して、「私はこんなことがあったよ」と自分の例なんかを持ち出して労りあって。悩みは解決しなくても視界は広くなりますよね。まずはそれくらいでいい気がするんです。相手が解決法を知りたがっていたら、それこそプロに頼ることを薦めますし。
