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現実の家だけではない「居場所=ホーム」
この“Dancing Girl”は、映画のクライマックスにあたるシーンで再び流れる。本作の核心部分にあたるそのシーンについて詳述するのは避けるが、ひとつ言えるのは、「居場所」とは、必ずしも現実のみに属するべきものでなく、ときに「夢」の中――つまり、空想された芸術の中にこそ現れるのではないか、ということだ。
「踊るあの子」が誘ってくれる「静かな場所」とは、あの思い出の詰まった家であると同時に、まさに今私達が想像力の元に作り出そうとしている「夢」の中にこそあるのかもしれない――。
そう解釈してみるならば、“Dancing Girl”という曲、更にはこの『センチメンタル・バリュー』という映画自体が、何かを夢見て、芸術に生きようとする人々への力強い讃歌であるとともに、一つの「家」「居場所」のようなものなのではないかと思えてくるのだった。翻って考えれば、私がかつて“Dancing Girl”という曲――加えて、それが収められている『What Color Is Love』というアルバムを聴いたとき、とろけるような心安さを味わうことになったのは、そのような意味での「居場所」のありかがそこに示されていたからに違いない。
大変に繊細で、同時に挑戦的な映画だ。傑作だと思う。
『センチメンタル・バリュー』

2026年2月20日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ヨアキム・トリアー
脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト
出演:レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング
配給:NOROSHI ギャガ
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