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『センチメンタル・バリュー』が描く「家」「居場所」「夢を見ること」とその音楽

2026.2.18

#MOVIE

映画のテーマと共鳴する、テリー・キャリアーの楽曲

そのような一連の音楽使用の中にあって、特に鮮烈な印象を抱かせる曲が、テリー・キャリアーの“Dancing Girl”(1972年)だろう。

テリー・キャリアーは、1945年に米イリノイ州シカゴに生まれた音楽家で、幼い頃からクラシック音楽を学び、少年期から作曲を始めていたという早熟の才人だ。

彼は、ハイスクール時代にジャズやポピュラーミュージックに目覚め、友人たちとジャズボーカルグループを組んで活動し、ギタリストとしても腕を磨いていった。その後、大学生の頃から地元シカゴのクラブへの出演するようになり、世のフォークブームに呼応するように、ジャズ、ソウル、フォークを織り交ぜた独自の音楽を練り上げていく。そして、ある日たまたまプロデューサーのサミュエル・チャーターズが彼のステージを観て感銘を受けたことをきっかけに、Prestigeレーベルで録音を行うが、同音源はしばらくの間お蔵入りとなり、約4年後の1968年にデビューアルバムとして発表される。

同時期に地元シカゴのレーベルChess傘下のCadetからいくつかのシングルをリリースしたのち職業作曲家としても活動を開始し、1971年にはThe Dellsのシングル“The Love We Had”でスマッシュヒットをものにする。更にそのシングルのプロデューサー、チャールズ・ステップニーからソロレコーディングを提案され、数多くの曲を完成させる。それらの楽曲は、Cadetから3枚のアルバムとしてリリースされるに至る。

“Dancing Girl”は、そのCadetからの一連作の2枚目、『What Color Is Love』というアルバムの冒頭に収められている曲だ。アコースティックギターの可憐な響きと、フォークとクラシックの融合を感じさせるハーモニー、ソウルフルかつ繊細な歌声、そしして詩的想像力に富んだ歌詞が渾然一体となった名曲で、古くからのソウルファンに限らず、後年のクラブミュージック世代の間でも厚い支持を受けてきた楽曲として知られている。

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