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志賀直哉の良さに目覚める
カラスヤ:オカヤさんには以前、林芙美子の『めし』を教えてもらって。
オカヤ:そうでしたっけ。昔の文学は、すごくたくさん読んでいるわけではないですけど、好きではあります。カラスヤさんもお好きですよね。
カラスヤ:はい。僕も名作と呼ばれるものでも読めていないものがいっぱいあります。ときどき思い出したように「これは読んでおかないと」と思って、例えば志賀直哉の『暗夜行路』とかを読んでみるんですけど。
オカヤ:あ、私最近、志賀直哉がすっごく面白いと思ってるんです! インドに行く時に飛行機で読むために買った『清兵衛と瓢箪・網走まで』が、これ、大好きなやつだ、って。
カラスヤ:面白いですよね。僕もハマった時期があって。短編しか読んだことがなかったので、『暗夜行路』読まれました? 最後はけっこうスペクタクルで。
オカヤ:「志賀直哉面白いよ!」って誰に話したらいいのかわからなかったので、いまその話ができてすごく嬉しいです。城崎に行きたいなと思ってます。
カラスヤ:志賀直哉って、「こういうものがある、面白そうだ、けど行くのはやめといた」みたいなことを書いているときがわりとありません? 「やめとくのか!」って驚きますよね。なんでも見たれという感じじゃないのが、さすがおぼっちゃまというか、品があるというか。
オカヤ:ふつう、行かないで書いたらだめかな? って思っちゃいますもんね。なんでも正直に言うのが良いことだ、みたいな考えがあるんですよね。
カラスヤ:後輩の小説をぼろくそに言ったりね。究極のエゴイストと言われますけど。
