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あの人と巡る、東京アートスポット

片桐仁は「わからない」を楽しむ 「アートにも人生にも正解はない」

2024.10.31

アートウィーク東京

#PR #ART

アートにも人生にも正解はない。造形、コント、演劇……自分の表現を楽しむ

―大学時代は多摩美の同期だった小林賢太郎さんと、コントグループのラーメンズも結成したりと、人生のいくつかのターニングポイントがぎゅっと詰まっていそうですね。片桐さんは造形、コント、演劇と活躍の幅が広く、「絶対にこう」と決め打ちした選択肢ではなく、常に自分の道を歩んでいる印象を受けます。

片桐:在学中に相方の小林賢太郎と出会ってラーメンズを結成してコントライブをやることで、さまざまな表現の可能性を探ることができました。その歩みの中、今は芸人に加え、俳優や声優などもやっていて、アーティストとしての活動も行えています。コントや演劇などは、その場でウケたかどうかで評価がわかる明快さとタイムラグのなさが好きですね。コントや演劇をやってみてお客さんの反応をダイレクトにもらえたことで、「ウケたい」という自分の欲求にも改めて気づけたように思います。それが自分の粘土作品の作風にもつながっているかなと。人生には正解がないので、その時の自分の表現を追い求めるしかないんです。

―その「正解がない」という感覚は、今の片桐さんのアートへの関わり方にも影響していますか?

片桐:そうですね。一見難しそうな現代美術も「正解がない」と思えば、身構えずにわからない感覚を楽しめばいいと思います。何事も、意味を追求しすぎると楽しくないですからね。僕にとってはアートを理解できるかどうかよりも、わからない感覚を楽しめるかどうかのほうが重要です。

今日見せていただいた藤倉麻子さんの作品は、規則的に作られる高速道路やショッピングモール、密集した住宅、田畑など、生まれ育った郊外都市の風景を出発点に、3DCGで独自の世界観を描いていると聞きました。地元が驚くほど近くてびっくりしましたよ。同じ地元の風景とわかって作品を見ても、藤倉さんはそれを3DCGや彫刻、言葉を織り交ぜながら表現しているので、不思議な世界観で面白かったです。

オブジェの横に言葉が書かれていたので、興味を惹かれて覗き込んで読んでみましたが、正直読んでもよくわからなかった。でも、アートって理解しなきゃいけないものではないと思うんですよ。わからないことをそのまま受け入れて楽しむほうがいい。「なんだろう?」と謎のままにして藤倉さんの表現を楽しみました。

展示を観る片桐。「わかんないな〜!」と笑いながらも表現のすみずみまでじっくり鑑賞し、のちほど会場に来た作家の藤倉にたくさん質問していた。

藤倉麻子『Sunlight Announcements  / 日当たりの予告群』会場:WAITINGROOM

『Sunlight Announcements / 日当たりの予告群』メインビジュアル
©︎Asako Fujikura, courtesy of the artist and WAITINGROOM

都市・郊外を横断的に整備するインフラストラクチャーや、それらに付属する風景の奥行きに注目し、主に3DCGアニメーションの手法を用いて作品制作をおこなっている藤倉麻子の個展。本人の制作活動の根源にあり、一貫して作品に取り込まれてきた「日当たり(Sunlight)」と「予告(Announcements)」をテーマに、新作の映像作品や平面彫刻をインスタレーション空間の中に展開。

会期:2024年9月14日(土)〜10月20日(日)
住所:東京都文京区水道2-14-2長島ビル1F
URL:https://waitingroom.jp/exhibitions/sunlight-announcements/

※藤倉麻子は、『アートウィーク東京』の「AWT FOCUS」に出展。また、「ミートアップ」で沖潤子とのトークセッションを開催。
詳細はこちら:https://www.artweektokyo.com/awt-talks/meetup/

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